クラピカが仲間(偽物)に輪姦される話です。

クラピカを陵辱するメンツ(全て偽物)

〇 メイン : レオリオ、師匠、リンセン、バショウ
〇 ほぼ声のみ : パイロ、ゴン、キルア

◆キャラ崩壊注意(偽物なので品性下劣)◆
仰向けに倒れた状態で目を覚ましたクラピカは、ぼんやりと周囲を見回した。

……ここは、どこだ?

着ているのは、黒のスーツだ。ノストラード組の若頭となってから着始めた、やや着慣れないマフィアの正装。黒のコンタクトレンズも入れたままだ。
そして感触からすると、ベッドに寝かされているようだ。

……仕事中に倒れて、運ばれたのだろうか?

それにしても、ここはどこだろう。クラピカは見回してみるが、周囲は白い霧がかかったように、よく見えない。と言っても物理的に白い霧に囲まれているわけではなく、視力の問題のようにクラピカは感じた。見えるのは半径約三メートル以内で、それ以上先は、白いモヤがかかったようによく見えないのだ。寝かされている白いシーツだけは見えるが、他は壁も天井も見えない。まるで白い空間に隔離されているような感覚だ。
問題が生じているのは視力だけではない。おそらくは聴力も低下しているのだろう、周囲はやけに静まり返って、自分が身じろぐ音しか聞こえない。体にも力が入らず、起き上がろうにも上手くいかない。思考力も低下しているらしく、倒れる直前に自分が何をしていたのか、思い出せない。

「クラピカ、目ぇ覚めたか」

クラピカの視認できる半径三メートル以内、その白い空間に、突然、見知った姿が現れた。レオリオだ。
もちろん本当に突然現れたのではなく、クラピカの視認範囲外から見守っていた彼が、今クラピカに近付いたことでクラピカの視認範囲に入ったというだけのことだ。

「……レオリオ…」

とにかくも、信頼する人物が現れたことで、クラピカは安堵した。
ヨークシンで別れて以来 一度も会っていないレオリオが、何故、側にいるのかは分からない。だがその穏やかな表情を見る限り、由々しき事態というわけではなさそうだ。

「レオリオ、状況を教えてくれ。ここはどこだ。私は何故、倒れていた? 体に力が入らないのだが、一体……」
「とりあえず、服、脱がせちまうぜ」

レオリオはベッドに上がり、クラピカに覆い被さると、スーツのボタンを外し始めた。
寝やすくするための配慮だろうと、クラピカは思う。

「脱ぐのは自分で出来る。それより、今の状況を……」
「いいから、じっとしてな」
「っ、レオリオ……?」

黒のスーツのボタンを外し終えたレオリオの手は、スーツを軽くはだけると、白いシャツのボタンまでをも外し始めた。
着替えさせるつもりなのだろうかと、クラピカは思い直す。それなりに長時間、寝ていたのかもしれない。

「レオリオ、着替えも自分で出来る。それより、ここはどこで、私は何故……、……?」

レオリオの手は、クラピカのシャツをはだけると、両手でクラピカの腰回りの肌を撫で始めた。
意図が分からず、クラピカは戸惑いを孕む眼差しでレオリオを見上げた。

「レオリオ、何を……」
「肌白いなー、お前。……この横腹の傷、銃弾でも掠ったのか? あんまり無茶ばっかすんなよ。心配になる」
「……余計な世話だ。お前に心配される謂れはない」
「そんで、細いなー。ちゃんと食べてんのか?」
「それも要らぬ世話だ」

肌を撫でるレオリオの手は、腰から脇腹へと上っていく。
レオリオは医者志望で、その方面の知識を所持している。つまりは、これは倒れたクラピカに対する触診なのだろうかとクラピカは思う。確かに今のクラピカの体は不調で、なんらかの確認は必要なのかもしれない。だが。

「……レオリオ、…必要以上に触れないでくれ」
「ん? なんで?」
「良い気分ではない。見られるのも、触れられるのも。そもそも我々の部族は他人に肌を晒さない文化が……、……ッ!?」

クラピカは、ビクリと体を震わせた。
レオリオの両手の親指が、クラピカの両方の乳首を押したのだ。そして、指の腹でくるくると撫で回す。
次には両手の人差し指で、乳首をカリコリと痛みを感じない程度に優しく引っ掻く。
最初は、これも触診の一種なのかと戸惑っていたクラピカだが、明らかに怪しい指先の動き、そしてレオリオの楽しげな笑みに、慌てて抗い始めた。

「やめろレオリオっ、ふざけるな!」
「とか言って、全然抵抗しねーじゃん」
「違うッ、力が入らないんだ! 起き上がるのも難しいほどで…」
「顔も赤くなってる。ここ、感じるんだろ? クラピカ」
「………ッ!!」

レオリオは、胸先を弄る指はそのままに、クラピカの滑らかな頬に舌を這わせた。
生温かい感触に、クラピカの背筋がゾクリと震える。

「やめろ…ッ、やめろレオリオっ、すぐに離せ、離れろ!!」
「怖いか? おとなしーくしてりゃ、優しくするから大丈夫だぜ」
「ふざけるな……ッ!!」

引き剥がそうとレオリオの肩を押しても、ビクともしない。
脚の間にレオリオの体が挟まっていて、蹴り上げることも出来ない。
念を使おうにも、何故か上手くいかない。右手の鎖も消えたままだ。“ 纏 ” はほぼ無意識で保てているが、思考力の低下のためか、それ以上のオーラの使用が出来ない。

「…あ……ッ」

レオリオの舌が頬から首筋に下りると、人体の急所を刺激される感覚に、クラピカの全身が強張った。

「今、イイ声出たな。首、弱い?」
「………ッ」

執拗に首筋を責め始めたレオリオに対し、クラピカは二度と声を上げぬよう、歯を食いしばった。
それでも、首を這う舌の感触、そして同時に弄られ続けている胸先のもどかしい感覚に、不本意にもクラピカの息は熱を増していく。

レオリオは自分を、こうしたかったのか? 力を出せないことを知って、これ幸いと襲い掛かっているのか? そもそも自分のこの状況も、まさか、レオリオが薬を盛って……?
クラピカは、浮かんだ考えを振り払う。レオリオはそんな男ではない。嫌がる相手の体を無理やり開かせるような、そんな男ではない。
だがそれなら、自分がされているこの行為は、何だというのか。思考力の低下しているクラピカには、分からなかった。ただ拒絶の意を示すために、声を殺して耐え忍ぶことしか出来なかった。

「なあ、感じてるだろ。少しは声出せよ」
「……っ、断わる。興醒めだというなら、速やかに、やめろ」
「強情だな。ま、いいか…そろそろ触るぞ」
「……何を、」
「嫌でもその気になっちゃうトコ」
「………!!」

レオリオの手が、ズボン越しに、クラピカのそこに触れる。

「可愛いサイズだなー。まだ柔らけーし」
「……っ、………ッ!!」

布越しにやわやわと揉み込まれて、羞恥のあまり、クラピカの全身がカッと熱くなる。コンタクトレンズの奥に、鮮やかな緋色も発現した。
いくら相手が心から信頼するレオリオであっても、こんな行為はいくらなんでも許容範囲外だ。
クラピカは左の拳で、渾身の力をもってレオリオの顔に殴りかかった。

「……っとと、凶暴だなークラピカは」

しかし難なく、レオリオの空いた手で止められる。もっとも命中していたとして、力の入らない今のクラピカの拳では、大したダメージにはならなかっただろう。
レオリオはクラピカの両手首をまとめて、クラピカの頭上で左手で押さえ付けてしまった。ただでさえ力が入らないうえ、念のオーラも上手く扱えない今のクラピカでは、その両手の拘束から抜け出せるべくもない。
事態を理解して、クラピカの全身が強張る。もはやレオリオの自由な右手が、クラピカのどこをどう触ろうとも、絶対に逃げられないのだ。

「押さえ付けられちまうと、ちょっと怖いか? でも殴ろうとした罰ってことで、我慢な。……安心しな、ココ弄るだけだから」
「………!!」

レオリオの右手が、再びクラピカのズボン越しにそこへ触れ、優しく撫で始める。
布越しの淡い刺激を受け、くすぐったいような悪戯な熱が、クラピカの芯に灯り始める。

「……っ、……」

それでも刺激自体は弱々しいもので、さほどの辛さはない。
むしろ今のクラピカを追い詰めるのは、精神的な苛みだった。
これまでの行為も、強引なものだった。けれど両手の自由を完全に奪われることで、不本意な行為を無理やりされているという感覚は一層強くクラピカに襲い掛かる。
しかも、それをしているのが、信頼するレオリオだという事実。相手が見知らぬ醜男なら、心を無にして屈辱に耐えることも出来ただろう。しかし、見知った相手にあらぬ場所に触れられるのは、屈辱よりも羞恥が上回る。
上がっていく息を、熱くなる頬を、レオリオには知られたくない。しかしそう思えば思うほど、羞恥に体は火照り、ますます反応してしまうのだ。

「………、……ッ」

快楽に色付き始めた表情、そして隠せはしない下腹部の反応。
声こそ堪えているものの、明らかに感じ始めているクラピカを、レオリオは楽しげに見下ろした。

「よーしよし、ヨクなってきたんだな。そろそろ、直接触ってやろうか」
「……っ、やめ、ろっ」
「じっとしてなって。楽にしてほしいだろ?」

レオリオは、一度クラピカの両手を解放すると、手早くズボンと下着を脱がせていく。
クラピカは脚をジタバタと動かして抵抗を示したが、むしろそのせいでズボンは簡単に脱げ落ちていってしまった。

「下は丸出しで、スーツの上は着たまま、はだけてるとか……全裸よりエロい格好だな、クラピカ」
「……ッ、」

まじまじと観察され、クラピカがスーツの前を慌てて閉じようとする前に、レオリオは再びその両手首をクラピカの頭上で戒める。
そしてレオリオの手は無遠慮にクラピカを直接握り、扱き始めた。

「硬くなっても、可愛いサイズのまんまだな」
「………ッ、………、」

布越しのもどかしい刺激とは異なる、あまりにも直接的な刺激に、クラピカは悩ましく目を閉じ、顔を逸らした。
声を抑えるために固く結んでいた唇は、しかし脳からの酸素の要求に抗えず、ほどなくして薄く開いてしまう。

「……っは、……はぁ…ッ」

口から漏れ出す呼吸音は荒く、その恥ずかしい響きがクラピカの鼓膜をも苛む。

「もう我慢汁、溢れてるぜ。ほら」
「〜〜〜……ッ!!」

腺液を塗り拡げるように亀頭をグリグリと擦られて、クラピカの全身がビクビクと震えた。
レオリオの体に阻まれて閉じられない生足が、それでも閉じたがるように、もじもじとレオリオの体を擦る。

「こーいうことされんの、初めてか? 酷いことしねェから、力抜いてみな」
「………!!」

宥めるような優しい台詞を口にしながらも、レオリオは更にクラピカを追い詰めるべく、クラピカの耳朶を食んだ。そして、舌の全面で耳介をじっくりと舐めていく。
クラピカは嫌がるように顔を逸らして、しかし震える吐息を隠せない。

「感じるだろ、クラピカ」
「……っ、」

耳元で、甘く低いボイスで囁かれて、鼓膜から脳や腰へと痺れが走るようだった。

「……ッ!! ……は、はぁ、……はあ……ッッ」

レオリオは更に、耳の中にまで舌を侵入させ、好き放題に掻き混ぜ始めた。
声で痺れを覚えさせられた鼓膜を、更にぐちゃぐちゃと卑猥に濡れた音で責められて、未知の刺激にクラピカの全身が戦慄く。
当然、レオリオの手は、休むことなくクラピカの陰茎を扱き続けている。
直接嬲られる刺激、そして耳から与えられるじんわりとした刺激に、クラピカは次々と先走りを溢れさせ、レオリオの手とクラピカ自身を濡らしていった。

「は、っはぁ、……は…」
「……なぁ、本当に声出さねーままで イくつもりか?」

耳元で、レオリオは焦れたように言った。
クラピカは口を大きく開き、呼吸こそ荒げているものの、喘ぎらしい喘ぎは決して聞かせなかった。

「んー、ちょっとつまんねーかな……、」

クラピカを高めていたレオリオの手が、離れていく。
クラピカはつい腰を浮かせ、その手を追いかけそうになってしまい、すぐにそんな自分を恥じた。実のところクラピカに自慰の経験はなかったため、あとほんの少しで絶頂を迎えるタイミングであったことは、理解できていなかった。それでも本能的に、もっと触れてほしいという欲求は、芽生えてしまっていたのだ。
焦らされて体に燻る熱に苛まれ、すっかり色欲に上気した顔を晒しながら、しかしクラピカは何かに勝ったような心持ちだった。
声を抑えたことでレオリオを興醒めさせたのなら、喜ばしいことだ。解放さえされれば、昂った体は時間が解決する。

しかしレオリオは、クラピカを解放するために手を離したわけではなかった。

「じゃあ先に、こっち弄ってみるかな」
「………ッ!?」

レオリオの指に秘所を撫でられ、クラピカの体がビクンと跳ねる。
レオリオは、これから行うことを予告するように、入口にグリグリと指を押し付けた。
クラピカは必死で抗おうとするが、しかし頭上で拘束されたままの両手首はピクリとも動かず、開かされた両脚も、レオリオの体が邪魔で閉じられない。

「レオリオっ、何を…!!」
「ココ使うの、知らねぇ? 知らねーよなぁ?」
「………っ、何故…そんな……っ」

レオリオは、あえて一息に挿入することはせず、ただ入り口をグリグリと揉み続けた。
想像できない感覚を予感して不安に揺れるクラピカの表情を、存分に堪能するためだ。

「嫌だ…、レオリオ……ッ」
「感じてる顔もいいけど、怖がってる顔もすげーそそるな」
「………!」

反応を楽しまれていることを知り、クラピカは動揺を抑え、表情を引き締めた。
見知らぬ男が相手なら、クラピカはそもそも無様に狼狽える姿を見せたりはしなかっただろう。相手がレオリオだから、つい心の箍が緩む。今、幻のような白い空間で行われている酷い行為よりも、ハンター試験で心通わせたレオリオの方が、ヨークシンで命懸けでクラピカに付き合い、真摯に看病してくれたレオリオの方が、クラピカには真実だ。だからこんな目に遭わされながらも、クラピカはまだレオリオには心を許していて、正直に 「嫌だ」 などと伝えてしまうのだ。
でも今は、と、クラピカは艶めかしく潤んだままの瞳で、目の前の男を睨み据えた。

「強がってんのも可愛いな。……けど、そろそろホントに挿れるぞ。指一本だから、まだ痛くねーからな」
「……う…っ、………ッ」

……レオリオの言う通り、痛みはなかった。
その感覚を言葉で表現するならば、“ 違和感 ” が適切だろうか。あらぬ場所に何かが挟まっているような異物感。そして、体の表面である皮膚に触れられるのとはまるで違う、体の内部で何かが動いている感覚。

「……狭いな。すげー緊張して締めてくるし、まさに初めてって感じ」
「…ん……、……ぅ…っ」

レオリオは、ごくりと唾を飲み込み、指を軽く動かしてクラピカをほぐしていく。
痛みであれば、クラピカは耐えられた。けれど、与えられるのは名前の分からない未知の感覚で、だから呻くような声が時折、漏れ出してしまう。
いたたまれなさに顔を逸らして、薄く開けた横目でレオリオを見やると、レオリオは、確実に仕留められる弱い獲物を見るような目でクラピカを見下ろしていた。ハンター四次試験の際、食糧として小動物を狩る時に、レオリオはこんな表情をしていた。逃がすまいと、確実に仕留めてやるというその表情が、しかし今はクラピカに向けられている。

「そろそろ二本目、いくぞ」
「……ッ、…んぅ………っ」

無理やり捻じ込まれた二本目は、僅かに引き攣れるような痛みをクラピカに与えた。
しかしそれも、内部の違和感の大きさに、すぐに掻き消されていく。

「………っん…ぅぅ、………は…ッ」

一本から二本へ。しかしそれは、単純に倍になっただけでは済まなかった。
掻き回す指が二本に増えたことで、クラピカの中を拡げるような意図的な動きが追加されたのだ。中で何かが動いている、ただそれだけだった感覚が、中を明確に弄られているという感覚に変わったのだ。
クラピカがもがくように脚を動かした拍子に、膝の裏に溜まっていた汗が、太腿を伝い落ちていく。

「痛いか? 痛くはねーな?」
「………ッ」
「じゃあそろそろ、このへんかな、っと……」

二本の指が合わさって、クラピカの内壁を撫で始める。
何かを探るように位置を調整しながら、指はクラピカの内壁を小刻みに擦った。

「っあ………!?」

そしてその一点を擦られた時、クラピカは抑え続けていた声を、ついに上げてしまったのだった。

「ここだな、ここ。勃起してるから、ちゃんと硬いな」
「っは、……ん、あ…ッ」

レオリオの指は、執拗にそこばかりを責め始めた。
擦るばかりでなく、押したり揉んだり、クラピカの反応を見て細やかに刺激を調整する。

「あ……ん、……んぁ…ッ」

その感覚は、陰茎を擦られるのと同じ 『 快楽 』 に属するものでありながら、しかし何かが異なった。
陰茎を扱かれるのは、射精に繋がる直接的な強い快楽を生み出すものの、その刺激が脳に届くまでにはいくつかの層があるように感じた。例えば陰茎の皮膚から神経へ、神経は下腹部から背筋を伝って脳へ、そんな伝達の流れがあった。その快楽の流れを塞きとめるように体を固くすることで、クラピカはなんとか声を抑えていたのだ。
しかし、直腸越しの前立腺への刺激は、なんの層も介さず、直接クラピカの脳天を直撃するようだった。陰茎の奥にあるその器官への刺激は、深く、ひたすらに深く、皮膚を介さずに体の奥に直接に火を灯されるようで、クラピカは抗えない。

「やぁ……ああぁ…っ」

コリコリと引っ掻くように擦られて、クラピカは体を大きく仰け反らせた。
或いは、絶頂の直前で焦らされていなければ、こんなにもあっさりと声を上げることはなかったのかもしれない。だが、イク直前で止められていた体は、快楽に貪欲で、素直すぎるほどに刺激を受け入れてしまっているのだ。
陰茎からは、前立腺からの分泌液が、じゅわりと漏れ出した。

「あ、あぁ……んっ、や……ッ」
「声、出るようになってきたな。このまま後ろでイッてみるか?」

このまま、うしろで、いく……?
性的な俗語に疎く、しかも思考力の低下しているクラピカには、言葉の意味は分からなかった。
ただ、わけも分からずに喘ぎながら、「このまま」 を続けられては何か危ないような予感だけはあった。

「……あー、いきなり中イキじゃ優しくないか? じゃあ、っと……」
「あっ、………?」

レオリオは、クラピカの両手首を解放すると、顔をクラピカの下腹部へと移動させた。
甘い快楽に酔いかけているクラピカは、ぼぅっとしたまま、レオリオの動作を見守るしかできなかった。
そしてレオリオは、可愛く勃ち上がっているクラピカの熱に、ちゅっと口付けすると、

「いただきまーす」

一息に、それを飲み込んでしまったのだった。

「ッ!? レオリオやめろっ、そんな離せッ、離……っや、ああぁ……ッ」

レオリオは口を窄め、唇で容赦なくクラピカを扱き始めた。
クラピカが慌ててもがいたところで、どうにもならない。
前はレオリオの口内に温かく包まれ、後ろは二本の指に穿たれて。
そんな状態でジタバタと足を動かせば腰が揺れ、不規則な刺激に余計に身体は辛くなる。
力の入らない体で出来る抵抗といえば、レオリオの髪を掴むことぐらいだった。

「嫌だッ、あっ、は……あ、…レオリオっ、あぁ…ッ」

舌で括れを擦られて、クラピカはビクビクと体を震わせた。
更に、前立腺を抉るように深く押し擦られ、衝撃に全身をしならせる。

「や…ぁッ、レオリオっ、レオリオぉ……ッ」

自分を苦しめる男を呼ぶ鼻にかかった声は、どこか甘えたように蕩けている。
こんな状況でも、やはりクラピカにとって、レオリオは信頼に足る相手のままだった。どんなに強制的な行為であろうと、優しく快楽ばかりを与えられる中で、恨みや憎しみは芽生えなかった。むしろ、これは極端に弱っている今のクラピカを救うために必要な行為なのではないかと、こんな状況の中でもレオリオの善意を信じてしまうほどに、クラピカはレオリオを疑えなかった。

「無理だ、も…ッ、嫌ッ、嫌だぁ…ッ」

それでも容赦なく、絶頂は近付いてくる。
クラピカには自慰の経験も、ましてや性行為の経験もない。だから耐え方が分からない。体にどんどん蓄積されていく熱が、どう解放されるのかも分からない。このまま際限なく熱が高まり続ければ、いずれ狂ってしまう、そんな恐怖感すらあった。

「レオリ…ッ、無理ぃ、あっ、ひああぁッ」

レオリオは、クラピカの限界が近いことを知り、刺激を強めて追い上げた。
口内で弄ばれ、温かな体温と物理的刺激の両方に苛まれる陰茎。
直腸越しに弄られ続ける前立腺。
初めて射精を迎えるクラピカにとって、それはあまりにも過酷であり残酷であった。

「あ、あぁ……ッ、やあぁっ、あああぁ………ッ!!」

言葉にならない無為な叫びを押し出して、クラピカはとうとう、初めての精を放った。
尿道を精液が通っていく、放尿にも似た感覚。そうして押し出された液体の行く先がレオリオの口内であるという恥辱。
何度も下腹部が収縮して、その波打つような快楽と羞恥心に、クラピカは溺れそうになった。







「……あ、ん、…はぁっ、…はー……」

ようやく、初めての絶頂の波が終わっていく。
クラピカはぐったりと全身の力を抜いた。コンタクトの奥の緋色も、ふっと力を失い、普段の茶へと戻っていく。
……不本意ではあるが、確かに快感だった。その大きな感覚は、クラピカの全身に燻るもどかしい熱を全て攫っていってくれた。辛いほどの強烈な感覚が終わってしまえば、残るのは気怠さばかり。

「あ……っ」

指が引き抜かれる感覚に思わず声が漏れたが、しかしクラピカはこれでようやく、全身を解放されたことになる。
汗で額に張り付いた金髪。はだけた黒いスーツから覗く、薄っすらと桃に色付いた肌。唾液と腺液に濡れて光る陰部。唇を薄く開いたまま、気怠げに快楽の余韻を漂う、艶かしい表情。
男を誘うような色香を全身に纏いながら、しかしクラピカの内を占めていたのは、ただ 『 終わった 』 という感覚だった。

不本意な行為だったが、終わったものをとやかく言っても仕方がない。
それよりも、と、冷静さを取り戻したクラピカは目を開けて、改めて現状を確認した。
相変わらず、白い空間にレオリオと二人きり。
視覚は半径三メートル程度しか見えないが、聴覚の方も、この範囲の音しか聞こえないようだった。つまりこれまで、レオリオと自分の行為に関する音しか、クラピカには聞こえていなかった。一般的な部屋なら確実に響く環境音……例えば鳥のさえずり、時計の秒針、風が窓を叩く音……それら一切が聞こえないのだ。

「……レオリオ、体に力が入らない。視覚も聴覚も、狂っているようだ。私はどういう状態なんだ? そもそも、ここはどこだ」

訊きながら、答えはもらえないのだろうと予感はしていた。答える気があるなら、とっくに答えているだろう。
案の定、レオリオは何も答えず微笑み、そして紫色のバイブを取り出した。
挿入部は柔らかなシリコン素材で、直径は指二本の幅より少し太い。下部には、コントロール用のスイッチが付いている。

「……何をする気だ?」

クラピカは眉を顰めた。
性的知識に疎いクラピカにはその使用目的は分からなかった。だが、男根のように括れのある形で、粒状のイボが全体に付いたそれは、何か酷く趣味の悪いものに思われた。

「何って……クラピカをオレのものにする準備、かな」
「お前のものになるつもりは今も昔もないが」
「またそーやって可愛くないこと言って」
「事実だ」

レオリオは、クラピカの目の前で、チューブから出したローションをそれに掛けていく。

「でももうすぐお前、オレのものになるんだぜ?」

わけの分からない道具を見せつけられ、不敵な笑みに見下ろされて、クラピカは当然ながら不快だった。
体が不調でなければ、レオリオの頬を引っ叩いてでもこの場を脱しているだろう。
だが、起き上がることさえ難しい今の状況では、無様に足掻いてもレオリオの嗜虐心を満たすだけだ。分かっているから、不快を隠さない顔で、ただレオリオを見上げる。

「大人しくしてろよ」
「………ッ!? …っ!!」

それでも、秘所にそれを押し当てられ、何をされるか理解すると、クラピカは慌てて暴れ始めた。
今の状況では、無様に足掻いてもレオリオの嗜虐心を満たすだけだ。分かってはいても、黙って受け入れるわけにはいかない。

「暴れてっと痛ぇぞ。大人しくしろって」
「やめろ嫌だッ、離せっ、嫌だ!!」
「……しょーがねーな、無理やり挿れるぞ。痛いのは自己責任な」

レオリオは、片手でクラピカの片足を押さえると、強引にそれを突き入れた。

「っぎぁ…ッ!!」

暴れていたため挿入の角度が悪く、不自然な方向に直腸を押され、クラピカの体内に鈍い痛みが走る。
入ったのは、まだ先端だけだ。

「ほら、暴れたせいで痛かっただろ。大人しくしてような」
「う……っ、ああぅ……ッ」

クラピカが暴れるのをやめると、レオリオは今度は角度を正し、バイブを押し込んだ。ローションのぬめりで、それはすんなりと最後までクラピカの中へと受け入れられていく。
クラピカが感じていたのは、ただ、鈍い痛みだけだった。指で慣らされていたとはいえ、バイブの太さも圧迫感も、それを大きく上回っている。おまけに、強引な挿入によるダメージで、入口付近はズキズキと疼痛を訴えている。

「じゃ、行くぞ」
「っうあぁ……!?」

レオリオは、クラピカが慣れるのも待たずに、振動のスイッチを入れた。
ブルブルと強烈な振動が、クラピカの入り口と、そして体内を震わせる。

「少し痛いか? ちょっとこのまま慣らすからな」
「う……、ぁ…っ」

下腹部がおかしい。
こんな感覚は、知らない。
全くの苦痛であれば、耐え方は分かる。だが、体内が震わされる感覚には、内臓が振動する感覚には、苦痛ではない何かが混じっていた。
両手でシーツを握り締めながら、クラピカは切なげに睫毛を震わせ、濡れた唇で艶めいた吐息を繰り返した。

「可愛いな、クラピカ」
「あっ、や……ッ」

レオリオはまた、クラピカの両乳首を指先でカリカリと弄り始めた。
今度は、バイブの刺激に邪魔され、クラピカは声を抑えられなかった。性的興奮を反映して、瞳もまた緋色に変化する。
バイブによる苦痛を相殺するように、胸先を弄る指は、優しく優しく繊細に、快楽に繋がる施しばかりを続けた。

「あっ、ぁ…ん、やめ……ッレオリ、ぉ…」

クラピカは力の入らない両手でレオリオの腕を掴むが、当然、やめさせることは敵わない。
バイブによる鈍い痛みは、慣れのためか、徐々に薄れていく。
そうなると残るのは快楽ばかりで、クラピカの表情も喘ぎ声も、ますます艶かしいものに変容していった。

「あ……ッ、ふぁ…」
「クラピカ、」

レオリオの顔が、クラピカに近付く。
意図を察し、クラピカは慌てて顔を背けた。

「…んだよ、キスさせろよ」
「嫌、だっ」
「まさかファーストキス?」
「………ッ」

そのとおり、初めてだった。
とはいえ、誇りなきマフィアの若頭に自ら志願するほど、目的のためなら自分の何もかもを捨てられるクラピカにとって、唇の貞操など特段守るべきものではない。
…だが、いくらなんでも。振動するオモチャを体内に挿れられた状態でだなんて、想像だにしなかった。
いやそもそも、目的のためだから何でも出来るのであって、こんな意図の分からない行為の中でレオリオに奪われるだなんて……

「あ……ッ、………んんぅ…ッ」

クラピカの思いを他所に、レオリオはクラピカの顎を捕らえて、あっさりとそれを奪ってしまった。
あまつさえ、喘いでいたために緩んでいた唇の隙間から、舌まで挿入されてしまう。

「…んぐっ……、ん、んぅ…ッ!!」

唇の裏を舐められる。
舌を吸われる。
舌の裏筋や上顎を、舌先で辿られる。
知らない刺激を次々と与えられ、クラピカは眩暈のような感覚に襲われた。
同時に、バイブは内臓を震わせ続け、乳首も弄られ続けて、もはや体のどこで何を感じているのか、どこが苦痛でどこが快楽だったのか、思い出せなくなっていく。

「んぅッ、んぐぅ……ッ!!」

最も弱い、上の歯茎のすぐ裏から上顎をヌルヌルと擦られて、クラピカは全身をビクビクと震わせた。
当然ながら、レオリオの腕や肩を押し返そうとするクラピカの抵抗は、何の意味も為さない。
そして、その儚い抵抗が力を失くし、ただレオリオに縋りついて震えるようになった頃、クラピカの唇はようやく解放されたのだった。

「んはっ、はぁッ、…はー……っ」
「……すっかり出来上がった顔だな。もう、痛くねーだろ?」
「ふ……、んぁ…っ」

瞳はとろんと蕩けて、頬は紅潮し、眉尻は下がり、甘ったるい呼吸を繰り返す。誰が見ても感じきった表情となったクラピカは、もはや一切の苦痛を感じていなかった。

「ひゃぅ…ッ」

乳首を指先で弾かれて、クラピカはピクンと体を跳ねさせた。その程度の刺激で生じる些細な痛みより、快楽が上回っているのは明らかであった。

「そろそろ、いいかな。ちょっと苦しくなるけど、ごめんな」
「何、を………、………う゛ぎッ!? ぎああッ!!?」

あまりの衝撃に、クラピカは目を見開いた。
レオリオがスイッチを押した途端、クラピカの体内に埋め込まれたバイブが、上下左右、縦横無尽に曲がりくねり、暴れ回り始めたのだ。
強く内壁を打ち付けられて、臓物を掻き回されて、このまま内臓を壊されてしまうのではないかと思うほど、その動きは激しかった。

「あ゛ぅッ、い゛やぁッ!! アっ、あー…ッ!!」

激しい動きで、自然とバイブが抜け出そうになるのを、レオリオは膝で押さえ込む。

「そんなにキツいか? 初めてじゃ仕方ねーか」
「い゛ぁ………ッ、レオっ、抜い…ッ」
「んー…じゃあ、五分だけ我慢してみようぜ。それで抜いてやるよ。な?」
「あっあ……ッぐぅぅ………っ!!」

五分。三百秒。クラピカは告げられたその数字が、絶望的なものに思われた。
刺激に慣れることは無かった。むしろ続けられるほどに、中が拡げられ、それを打ち付けられて更に拡げられ、一層苦しさが増す。
おなかの中が、熱い。

「いぁ…っ、ぐるし、ィッ、レオリ…!!」
「ガマン、ガマン」

レオリオは今度は、キスや愛撫で宥めることはしなかった。
ただ抵抗できないようクラピカの両手を押さえ、バイブが抜けないように膝で押し付けながら、首を振って涎を垂らすクラピカの、苦しげな、男の情動を掻き立てる表情を観察し続けた。







「……そろそろ五分だな。よく頑張ったな、クラピカ」

カチン、とレオリオがスイッチを切る。
糸が切れたように、カクンとクラピカの全身の力が抜けた。
ぼぅっと虚空を見つめ、荒い息を繰り返す。……終わった。五分。なんとか、耐えられた。

「……ッきあああぁッ!?」

突然体内を襲った感覚に、クラピカは目を見開き、体を跳ねさせた。
レオリオが再び、スイッチを入れたのだ。

「悪ぃ、あんまり油断してるから意地悪したくなった。これで終わりな、ホントに」
「…ぅ……ッ、……っ」

言葉どおり、すぐにスイッチは切られたが、今度はクラピカは体を強張らせたまま震えていた。
いつ再び、体内でそれが動かされるか、分かったものではない。

「ホント悪ぃ、今のは出来心。ほら、抜いてやるから、ちょっと楽にしな」
「………あ…っ」

ずるりと引き抜かれる感触に、痛みと悦楽の両方を感じ、クラピカは儚く声を上げた。
しかし、それで本当に突然虐められる可能性はなくなり、クラピカはようやくまた全身を脱力させる。
息が荒い、苦しい。体が怠くて、着たままのスーツが鬱陶しい。それから。
……おなかの中が、いつまでも熱い。

「じゃあ……、そろそろ、な?」

ぐったりしたクラピカを見下ろしながら、レオリオはズボンの前を寛げ、硬く巨大なそれを取り出した。

「……ッ」

その凶悪な体積に、クラピカは思わず身を竦めた。
他人の猛ったものを目の当たりにするのは、クラピカにとって生まれて初めてのことだった。
しかもそれは、レオリオがクラピカに欲情している証だ。これまでの行為から想像できなかったわけではないが、やはりクラピカにとって、レオリオは大切な仲間だ。そのレオリオから性欲の対象として見られている事実を明確に突きつけられるのは、クラピカに少なからぬ衝撃を与えた。
しかし、次にクラピカの心を襲った衝撃は、その比ではなかった。

「怖くねーからな」

そう言ってレオリオは、クラピカの足を持ち上げ、その凶悪な猛りを、クラピカの窄まりへと押し付けたのだ。
いくらクラピカにこの類の知識が無かろうとも、それで察せないわけがなかった。
クラピカは一瞬、硬直した。そして次の瞬間、全身全霊をかけ暴れ出した。

「嫌だっやめろ嫌だ嫌だッ!!」
「……っとと、まさか分かってなかったのか? 大丈夫だって、落ち着け」

力の入らない体とは言え、クラピカが渾身の力で暴れれば、さすがにやすやすとは挿入出来ない。
レオリオは暴れるクラピカの腰を両手で押さえ込んだが、もがく両脚に侵入を阻まれた。
デリケートな生身の男性器の挿入は、手に持った無機質なバイブを強引に挿れるように簡単にはいかない。

「離せッ! 離せッ!!」
「落ち着けって、充分ほぐれてるし大丈夫だから。バイブも、そんなに痛くなくなってただろ?」
「嫌だッ、離せレオリオ! 離せっ!!」
「最初、少し我慢すりゃいいだけだから。ローションも使ってるし、ちゃんとお前もヨクしてやるからさ」
「ふざけるなっ! 離せッ、すぐに離せ!!」
「ゆーっくり動かすから、心配ないぜ。怖くねーからさ。ちょっと深呼吸してみな。無理か? 落ち着いて、大人しく……」

当然ながら暴れるのをやめないクラピカの耳に、チッと苛立った舌打ちの音が届く。
そして次の瞬間、

バシッ。

大きな鋭い音が響いた。レオリオがクラピカの頬を、打ったのだ。
手加減はなかった。焼けるような痛みが、ジンジンとクラピカの頬に留まる。

「叩いてごめんな。ちゃんと優しくしてやってんのに、なんで暴れるかなぁ…」

言いながらも、レオリオは動かなくなったクラピカを蹴りつけて転がし、うつ伏せにさせる。

「大人しくしてりゃ、もう乱暴しねーからな」

レオリオは、背後からクラピカの腰を持ち上げ、再び入り口へと男根を押し当てた。
クラピカはもう、暴れなかった。もっとも仮に暴れたとして、この不利な体勢では、もはや力づくで挿入されることは間違いなかったが。

「ぅぐ……っ、い゛ああぁ……ッ!!」

レオリオは容赦なく一息に、クラピカの中へとそれを捩じ込んだ。
怖くないだとか散々掛けられた優しい言葉は、すべて真っ赤な嘘だったのだと、そうとしか思えないほどの激しい苦痛がクラピカを襲った。
バイブの比ではない体積と熱。裂けそうな痛み。内臓を圧迫される不快感と、それに伴う吐き気。
体中の感覚をたった一本の男根に牛耳られながら、クラピカは低下した思考力で、ようやくその結論を得ていた。

……レオリオではない。

ぶたれた頬は未だ、ジンジンと痺れている。レオリオが、クラピカにこんな乱暴を働くはずがない。クラピカの意思を無視して体を奪うなど、あり得ない。
クラピカの思考力が通常の状態であれば、体を弄られた時点ですぐに、その結論に至っていたであろう。
表情も、仕草も、声も、体を覆うオーラの質も量も、確かにすべてがレオリオだ。けれど、レオリオではあり得ない。

クラピカは可能性を考える。
魔獣キリコのように、何者かがレオリオに化けている? ……いや、違う。物理的に変化するなら、クラピカの視覚と聴覚を狂わせる必要はないだろう。
では、レオリオの姿は、知覚異常による単なる幻で、クラピカは犯されてなどいないのか? ……それも違う。全くの幻なら、暴れるクラピカに対し、レオリオらしくもない苛立った反応は見せないだろう。
つまり、クラピカは本当に今、男に犯されている。ただし視覚と聴覚の異常により、その姿を、声を、レオリオのものに変換して認知しているのだ。

『 うおー…さっすが初モノ、すっげー締まる 』

楽しげな男のそんな下卑た台詞も、クラピカにはレオリオの優しい声と台詞に変換されて聞こえてしまう。

「クラピカ。お前ん中、すげー気持ちいいな」

ただし幻覚だと理解したところで、クラピカに逃げる術などない。
レオリオ、いや、レオリオにしか見えない男は、クラピカに配慮することなく、欲望のままにクラピカを突き上げ始めた。

「…ぎ……っあ、……く、うぁっ、あ゛ッ」

クラピカの体が前後に儚く揺れる。
そこには、ただ痛みしかなかった。
普段のクラピカであれば、単なる痛みに対し、無様に声を上げることはなかったかもしれない。
ただ、思考力低下の影響で、今のクラピカは精神的な抵抗力も脆くなっている。これまで声を上げたのも、今、声を上げているのも、そうした心身の不調による影響はあるのだろう。

「あぐっ、ひ、……うぁ…ッ」

喘ぎながら、クラピカは理解する。
これはつまり、異性間の性交を真似た性行為だ。自分は今、何者かに、慰み者にされているのだ。
酷い汚辱感に、はらわたが煮えくり返る思いがしても、今のクラピカはただ耐えるしかない。
今、クラピカは何者かの手中にある。体が不調なのは、何か薬を飲まされたのか、何者かの念能力か……とにかく今、抵抗する手段はないのだ。

「クラピカ、辛いか?」

「苦しいか? なぁ、もう少し手加減した方がいいか?」

「このまま最後までヤっても平気か? ……なあ、何か答えろよ」

無遠慮な突き上げとは裏腹に、殊更に優しいレオリオの声が、背後からクラピカを気遣う。
しかし、すべては幻聴だ。男は、あえて優しく声を掛け、クラピカの反応を楽しんでいるに違いない。分かっているからクラピカは答えない。あられもない喘ぎ声すら隠せない中で、せめてそれが、今できる最大限の抵抗だった。

「…とっくに、幻覚だって気付いてるか。まぁ、思いきり叩いちまったからな」
「………!!」

呟くようなその言葉に、クラピカは、やはりこれは幻覚なのだと確信する。
そしてほぼ同時に、クラピカの視界に、新たな男が現れた。

「クラピカ、久し振りだな。なかなかイイ格好じゃねーか」

クラピカは思わず目を見開いた。
約半年もの間、クラピカに念の修行を付けてくれた師匠、イズナビその人だった。
イズナビは、クラピカの顔がよく見えるよう、その前髪を乱暴に掴んで上を向かせた。

「あ……ッ」
「相変わらずキレーな顔してんな。半年も修行に付き合って、気絶したお前を何度も運んでやってさ……オレが何度、お前にブチ込みたいと思ったか、知ってるか?」

クラピカは歯を食いしばる。
……幻覚、幻聴だ。あの師匠が、何度も反抗的な態度は取ったが本心では尊敬しているあの師匠が、クラピカにそんな劣情を抱いていたはずがない。

「後ろは忙しいみてーだし、オレは前でいいぞ。ほら、咥えろ」
「………ッ」

目の前に怒張した男根を出され、クラピカはそれを睨み付けた。

「何、怖い顔してんだ。順番待ちして後ろにブチ込まれる方がいいのか? 後ろだけじゃ、全員終わるまでもたねーぞ」
「う………っ」

汚物を頬に擦り付けられ、クラピカは強烈な嫌悪感に見舞われた。
しかし同時に、考える。

まず、『 全員 』 との発言……このレオリオと師匠の他にも、クラピカの視認範囲外で、複数の男がクラピカを囲んでいるとみて間違いない。
念すら使えない今のクラピカでは、逃げるどころか、下手を打てば殺られる可能性さえある。

そして、幻覚がレオリオと師匠であること……二人とも、マフィアのボスとしてのクラピカとは接点がない。今クラピカを捕らえている何者かが、わざわざ二人の情報を調べたとは思えない。
つまりこの幻覚は、クラピカが自身の記憶をもとに生み出しているものだ。対象はおそらく、クラピカが心許している人物が選ばれるのだろう。だからクラピカを後ろから犯している男は、クラピカに違和感を与えにくいように、最初はクラピカを優しく扱ったのだ。
そうなると、クラピカが 「レオリオ」 の名を声に出してしまったのは致命的だ。クラピカが心許す相手の一人の名が 「レオリオ」 であることを敵に教えたようなものだ。最悪の場合、レオリオに迷惑が掛かる可能性もある。

「ほら、早く咥えろ。歯ぁ立てたらお仕置きだからな」

以上からクラピカは、今は相手の機嫌を損ねないよう振る舞う必要があると考えた。
屈するわけではない。だが反撃の好機を得るまで、それなりに従順な態度を示さねばならない。
だからクラピカは意を決し、四つん這いの姿勢で大きく口を開き、目の前の男の汚物を口に含んだ。

「ん、んぐ…ッ、ぅん、…ん゛ん゛……ッ」
「あー……オレに生意気ばっかり言ってた弟子が素直にしゃぶってると思うと、そそるな」

レオリオの幻覚に自分がされた時のことを思い出しながら、クラピカは必死で口や舌を動かした。
苦みやえぐみに吐きそうになりながら、それでも必死で舐めた。
しかし、ただでさえ初めてで勝手が分からないうえに、後ろを突かれながらでは集中すらできない。

「ん゛、んー……ッ!!」

レオリオに後ろを一際強く突かれ、クラピカは思わず顔を仰け反らせようとして、しかし口を塞ぐ男根に阻まれた。
苦しげなクラピカを見て、イズナビは小さく笑った。

「下手だな、クラピカ。せっかく可愛いんだから、念や体術だけじゃなくて、こういうことも仕込んでやれば良かったな」

……幻聴だ、惑わされるな。
そう自分に言い聞かせながら、師匠にしか見えない男のそれを、クラピカは懸命にしゃぶるのだった。


  *  *  *


「クラピカ、そろそろ中に出すぜ。いいな?」
「んぅ………ッ」

やがて後ろから聞こえたレオリオの声は、興奮した雄のそれだった。
いいな、と聞かれたところで、師匠のものを咥えたままのクラピカに返答など出来ない。だが、どうでも良かった。女性なら望まぬ子を孕まされる可能性に怯えるのだろうが、男の自分が中に出されるからといって、何を臆することがあろう。

「オレもそろそろ出してーな。動かすから、我慢してろよ」
「んっ、ん゛、んぐぅ……ッ!?」

イズナビは、クラピカの頭を両手で掴んで固定すると、ピストン運動でクラピカの口内を犯し始めた。
背後のレオリオの動きも、自らの絶頂を求め、激しさを増す。

「ん……ッ、ん゛、ぅッ」

前後から違うリズムで揺さぶられて、クラピカの体が不規則に艶かしく揺らぐ。
師匠に遠慮なく何度も喉元まで突かれると、呼吸が妨げられ、苦しい。

「ん゛ぐ…………ッ!!」

後ろから激しく突かれ、つい前に体が傾いた拍子に、喉の奥まで男根が刺さる。
あまりの苦しさに、反射的に涙が押し出されかける。咳き込もうにも、口を塞ぐ男根がそれを許さず、喉元から出られない咳がよりクラピカを苦しめた。

「……ん、…ん………っ」

不意に、体内に他人の温度がじわりと広がった。中に出されたのだと、少し遅れてクラピカは理解した。

「んむ……っ!! んんぅん…ッ」

続けて、口内に、酷く青臭いものが溢れかえった。それもまた喉元まで届き、苦しさで口を離したくなるが、頭を押さえつけられ敵わない。
イズナビはクラピカの口内を犯し続け、最後の一滴まで出し切ってから、ようやくクラピカを解放した。

「う……ッ、うげっ」

ゴホゴホと咽せると同時に、クラピカの口から白い汚濁が零れ、シーツを汚す。

「飲まねーのか、気が利かねぇな……ほら、シーツがこんなだ。舐めて綺麗にしな」
「…ぅぐ……ッ」

イズナビが、クラピカの頭を押さえ、顔面を汚れたシーツに押し付けた。
頬や鼻が、生温かく粘った感触に濡れる。
……臭いだけでも、吐き気が込み上げる。
口に残っている僅かな量ですら飲み込みたくない、今すぐ洗い流したい。
おぞましさに肩を震わせるクラピカを見て、イズナビは頭を押さえつけていた手を離した。

「まぁ、無理ならいい。お前にしちゃ頑張ったな」

そう言ってイズナビは、クラピカの頭を撫でた。

……クラピカの師匠は、厳しかった。念を覚えて僅か半年でA級賞金首と渡り合うというクラピカの目標に無理があったせいもあるが、修行に関してはいつも無理難題を言い渡された。
そのくせ、気絶したクラピカが目覚めると、「お前にしちゃ頑張った」 と頭を撫でた。
それが子供扱いされているようで、少し悔しかったのだった。

やめてくれ。こんな状況で、そんな幻聴を聞かせないでくれ。
頭を撫でる男の優しい手が、忌々しかった。

「……あ…っ」

挿入ったまま余韻を堪能していたレオリオのそれが、ズルリと抜かれていった。
ようやく全身を解放され、クラピカは暫し、うつ伏せのまま脱力した。
しかしそれも束の間。クラピカはやや乱暴な手に仰向けにされた。
そうして目の前に現れたのは、いや、現れた幻覚は。

「はしたない格好ですね、ボス」
「……っ」

見慣れた顔に、クラピカは顔を歪めた。
……リンセン。
ノストラード組の雇われハンターとしては一番の古株で、クラピカの知らないマフィアの内情も把握し、今も若頭であるクラピカを的確にサポートしてくれている。
内輪では “ クラピカ ” と呼び捨てでタメ口のリンセンだが、外ではクラピカの威厳を保つために “ ボス ” と呼び、こうして敬語を用いる気遣いも忘れない。

「隣で仕事しながらずっと、いい匂いがするって思ってたんです。オレも、挿れていいですか?」
「……っく、ぅ、…あぁ……ッ!!」

言うが早いか、仰向けのクラピカは今度はリンセンに穿たれる。
レオリオに散々酷使されたそこは、既に圧迫感は感じなかったが、擦り切れるような鈍い痛みを生み出した。

「ふぁッ、あ、ひあ……ッ」

慣れる間もなく突き上げられ、クラピカはまた儚い喘ぎを紡ぎ出す。

「さすがボス。頭のキレだけじゃなくて、ココも凄いんですね。締め付けてくるのに柔らかい」
「あぅッ、あっ」
「せっかくオレが見立てたスーツを、こんなに汚して……また買い替えですね」
「はッ、あぅ……ッ、んんぅッ!?」

リンセンの姿を見ないよう、目を閉じて耐えていたクラピカの口へ、突然、また陰茎が捻じ込まれた。
驚いて目を開けると、今度は、バショウ……いや、バショウの幻覚だった。

「オレのも しゃぶってくれるだろ、クラピカ」
「ん…、んぅ……ッ」

バショウもリンセンと同じく、今のノストラード組にとって、そしてそのボスであるクラピカにとって、欠かせない人材だ。
念能力の特性上、バショウは良い句を生めるよう常に心に余裕を持ち、時に取引相手の下衆さに苛立つクラピカを陰で宥めることもある。クラピカの生き方を、息が詰まるなどと否定的に見ながらも、それを押し付けはせず、かと言って無視することもない、人情味に溢れた男だ。

「お前のことは最初から気になってた。人体収集家に雇われに来るには、綺麗すぎるっつーか可愛すぎるっつーか、似合わねー奴だと思ってたんだよな」
「マフィアのボスなんかより、こういう仕事の方が似合ってるんじゃないですか?」
「付き合いのあるファミリーの奴ら、みんな言ってるぜ。あんな上玉、どうせ接待してくれるなら、酒より体でしてくれりゃいいのにってな」

幻覚だ。幻聴だ。
ノストラード組でいつも自分を立ててくれるこの二人が、こんな下劣なことを考えているはずがない。

「んんぅっ、んぐ……ッ」

息苦しさを堪えながら、その姿を見ないよう目を閉じても、それを嘲笑うかのように、二人は絶え間なく幻聴を聞かせてくる。

「いつも綺麗に澄ました貴方の顔をペニスで歪ませるのは、なかなかに楽しいですよ、ボス」
「なんでもソツなくこなすくせに、口の方はイマイチだな。もう少し、舌、使ってみな」
「苦しそうな顔もそそりますけど、もっとイイ顔も見せてくれませんか? ボスも感じてるでしょう、乳首も尖ってますし」
「ッんん……!!」

突然に胸先を摘ままれて、クラピカの体が跳ね上がった。

「お、今のは可愛い反応だな」
「じゃあ、両方とも触り続けてあげますね」
「んぅっ、ううん……ッ」

毎日のように耳にする声で卑猥なセリフを聞かされ続けると、どちらが本当の二人だったのか、不意に分からなくなる。
耳も、目のように、閉じて塞ぐことが出来れば。そんな無意味なことを考えながら、クラピカはひたすら、無心になろうとした。

「んぐぅッ、んっ、んー…っ」

やがてリンセンの動きが激しくなり、圧迫感が増す。
強い揺さぶりと、鈍い痛み。
ほどなくして、中に出される生温かな感覚が訪れる。

「まさかボスに中出しできる日が来るなんてね。最高でしたよ、ボス」
「……ん…っ」

余韻を楽しむようにクラピカの腰を撫で回してから、リンセンの雄が、引き抜かれていく。
口は塞がれたままだが、ようやくそこだけでも解放されて、クラピカは少し、体の力を抜いた。

「オレもそろそろ出してぇな」

バショウはそう呟くと、クラピカの口に陰茎を刺したまま、仰向けのクラピカの顔に跨った。
そして、好き勝手に腰を動かし、ピストン運動で口内を犯し始めた。

「ぐッ、んぐぅ…っ、んー…ッ」

遠慮なく喉の奥まで挿入するイラマチオ。
四つん這いの姿勢でされたイズナビの時とは違い、仰向けで後ろに逃げる余裕のない分、かなり奥深くへと強制的に挿入される。

「ん゛んッ、う゛…っ」
「あー、奥は狭くてサイコーだな」

狭い喉に亀頭を締め付けられる感覚が心地良く、バショウは意識的に奥へのピストンを繰り返した。
当然、クラピカの呼吸は妨げられ、呼吸困難に近くなる。
咽頭反射でむせ返り、苦しく、それでも抵抗するわけにはいかずに、クラピカは必死でシーツを掴んで耐え忍ぶ。

「……んッ、んんぐ…っ」

酸欠に思考がぼやけ、もっと自分の口淫が上手ければこんな行為をされずに済むのだろうかと、詮無いことを考え始めた頃。
予告なく、クラピカの喉へと他人の体液がぶち撒けられた。

「…ん、んぐぅ………ッ!!」

それはやたらと量が多く、仰向けの姿勢でも、クラピカの口の端から漏れ出していく。
最後まで出し切ると、バショウは満足し、それを口内から引き抜いた。

「飲みな、クラピカ」

無防備な口内に溢れ返った白濁。
気管に入ってしまったらしく、ゴホゴホとむせるが、仰向けのままでは重力に邪魔され、口内の液体は出て行かない。

「げほ……ッ、ゴホっ」

ただでさえ呼吸困難が続いて酸素が足りない中、むせ返るために今も息が出来ない。
苦しさのあまり、クラピカはうつ伏せになり、口内に溜まった液を吐き出した。その姿勢のまま何度か咳き込んで、ようやく気管に入り込んだ液体が出て行くと、なんとか呼吸を取り戻す。

「また飲めませんでしたね、ボス」
「本当にオレらのボスは、こっち方面は苦手だな。いい顔と体してんのに」

クラピカはうつ伏せのまま、ぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返す。喉にはいつまでも何かが引っかかる感触が残り、時折、咳き込んでしまう。
……まだ視界は戻らない。体に力が入らない。耐え抜けば本当に、反撃の好機はあるのだろうか?
弱気になりかけた自分を、クラピカは首を振って奮い立たせた。こうして弱気になりかけるのも、思考力を奪われ精神を蝕まれているせいだ、こんなことは同胞が受けた苦痛を思えば何でもないと、そう決意を新たにして。

そんなクラピカの腰を、背後から誰かが掴んだ。
……また、挿入されるのだ。
どうせ抗えはしない その行為を受け入れるため、クラピカは目を閉じ、両手でシーツを握った。

「クラピカ、ボクのも挿れていい?」

しかし聞こえた声に、クラピカはハッと目を見開いた。
五年も前に失くした子供の声。
本来なら共に成長するはずだった、友人の声。

「………ッ」

クラピカは祈るようにまた目を閉じた。それだけは、それだけはやめてくれ。
幸いにも、その声の主は後ろからクラピカを好きに犯すばかりで、それ以上無駄に喋ることはなかった。










「…ぁ……、………っ」
「反応悪くなってきたな。クラピカ、平気か? バテてんのか?」

クラピカは今は仰向けで、レオリオに犯されている。
ただしこの 『 レオリオ 』 は、最初にクラピカを犯した 『 レオリオ 』 とは異なる。クラピカが見る幻覚は、実際の男と一対一で対応するわけではなく、視認範囲内の男にランダムに割り当てられている。

「後ろでも口でも、十回以上だからな。初めてなのに頑張ったほうだろ、なぁ、クラピカ。……そろそろ、顔にかけるぞ」
「………うぅ…っ」

イズナビが、クラピカの手を使って扱いて出した白濁を、クラピカの顔に放つ。
顔中に散った他人の体温に、クラピカは僅かに眉を顰めた。
既に、顔にも髪にも、腹にも足にも、好き放題にかけられている。着たままのスーツとシャツもドロドロだ。追加されたところで、今更もうクラピカは何も感じない。
クラピカの喉には幾度も出された精液がこびりついて、息をする度に、青臭さが鼻をついた。

「マフィアの若頭様も、こうなっちゃ見る影もねーな」
「らしくないですよ、ボス。いつもの凛々しい貴方はどこへ行ったんでしょうね?」

バショウとリンセンも、楽しげにクラピカを眺めている。


彼らは皆、クラピカの信頼する人達だ。
同胞を失い、森の外の世界で孤独に生きるクラピカが見つけた、温かな絆。
良い仲間を持ったと、心からそう思わせてくれたレオリオ、そしてゴンとキルア。
そのヒントをくれていた、強さに必要な体と心の在りようを指導してくれた師匠。
『 緋の眼を取り戻す 』 その目的のためにファミリーを半ば私物化しても、文句の一つも言わずにクラピカを支えてくれるリンセン、バショウ。
クラピカにとって、信頼の置ける人たち。
そして……、パイロ。
絶対に皆、クラピカにこんな感情を抱いてはいない。

……いや、どうだろう。よく知る顔に幾度も犯され、よく知る声で卑猥なセリフばかり浴びせられて、クラピカは分からなくなっていた。
確かに自分は体格は華奢で、顔立ちも雄々しくはない。もしかしたら、柔らかな微笑みの裏で、こんな劣情を隠し抱かれていた可能性も……
クラピカは、浮かんでしまった あらぬ考えを振り払うために首を振った。あり得ない。例え万が一、万が一そうだったとして、こんなふうにクラピカを強引に犯すわけがない、絶対に。
全ては幻聴、幻覚だ。負けるものか。


「じゃあクラピカ、そろそろ休憩させてやろうか。オレが終わったら、な」
「っああぁ……ッ!?」

レオリオが、クラピカを犯す律動を保ったまま、クラピカの陰茎を扱き始める。
中途半端に昂ったまま長く放置されていたそこは、喜んで刺激を受け入れ、蜜を溢れさせた。

「やッ、あぅ、ん……っあぁッ」
「なんだ、まだ声出るじゃねーか」
「輪姦されて感じてるなんて、淫乱のケがあるな、お前」
「…うぁ……ッ、やっ、あぁ…っ」

まだ一度しか射精を経験していないクラピカが、こんな心身ともに疲弊した状況で、陰茎への直接的な刺激に抗えるはずもない。
明らかに感じきった顔で艶めかしく喘ぐクラピカの姿は、まるでレオリオに突き上げられて悦んでいるかのようだった。

「ボス、もっと気持ち良くなれるように、こちらも舐めてあげますね」
「ひっ、……あ、やあぁ……ッ」

リンセンが跪いて、クラピカの乳首を舐め始める。
舌の柔らかさと温かさに触れたそこは花のように色付き、更なる刺激を求めるかのように、ぷくりと膨らんでいく。

「こんなにすぐに硬くして……ボスは本当に敏感なんですね」
「い……っ、いぁ…ッ」

もう片方の乳首まで指で刺激され、クラピカの全身が粟立つ。

「まったく、オレの弟子は可愛すぎるな」
「あ……ッん、んぅ…っ」

師匠に顔を近付けられ、思わず目を閉じると、クラピカは唇を塞がれていた。
手で顎を強く押され、強引に開かされた口へと、当然のように舌が侵入する。

「んん……ッ、んぅ……!!」

それは、イラマチオとは違う意味で、クラピカの口内を苛め抜く行為だった。
敏感な粘膜ばかりを辿られて、クラピカは声にならない悲鳴を上げる。
吸い上げられた舌の奥を甘噛みで固定されて、逃げられない舌を裏も表も舐め回されて、何が何だか分からない。
喉を塞がれたわけではない、鼻で息は出来るのに、溺れたように息苦しい。

「ねえクラピカ、オレのも触ってよ」
「オレも、クラピカのキレーな指でしてもらおっかな」
「…んぅ……ッ!?」

また、聞き慣れた二つの声。ヨークシンで、旅団の人質になって命を危険に晒してまで、クラピカに協力してくれた二人の幼い声。
クラピカは両手で一本ずつ、彼らの男根を握らされた。
思わぬ声につい目を開いてしまったクラピカだが、視界には口を塞ぐ師匠の顔が広がるばかりで、彼らの顔が見えなかったのは幸いだった。

「クラピカって、こんなにエッチだったんだね」
「エロい体してるなーって前から思ってたんだよね」
「んぅぅ……ッ」

幻覚だと分かってはいても、まだ幼い彼らにとんでもない痴態を見せつけているような気がして、罪悪感がクラピカの胸を突く。
実際、今のクラピカの状態は酷かった。
レオリオに突き上げられながら、張り詰めて蜜の溢れる陰茎を擦られて。
師匠に口内を蹂躙され、リンセンには両方の乳首を弄られて。
左手も右手も、それぞれに汚物を扱き、指先を先走りの腺液に汚されて。

「…ぅん……ッ、んんん……ッッ」

何より一番酷いのは、そんな酷い行為でクラピカが強い快楽を感じてしまっている事実だ。
全身が気持ちいい。触れられている場所すべてが。
体は、覚えたての絶頂を目前にして、もはや不快感を感じ取ることをやめていた。
十回以上も酷使された腰は鈍く痛んでいたはずだが、その感覚は霞み、前立腺を男根で抉られる悦楽だけが強く響く。
醜悪なものを握らされている両手ですら、気持ち悪いぬめりに対する嫌悪感よりも、他人の体温を感じる心地良さに じんとする。
口内や胸先に与えられる、ふわふわと甘い快楽は、陰茎を擦られる直接的な快楽と合わさって脳を痺れさせる。

「んぅッ、ん、んんぅ……っ」

いよいよ絶頂が近くなり、思わず暴れたくなるが、腕も頭も腰も押さえ込まれ、自由になるのは両脚だけ。
そのクラピカの両脚が、儚くジタバタと揺れた後、ピンと張り詰めた。

「〜〜ん゛ぅんんッふあっ、やぁッあああぁ……ッ!!」

クラピカの極みに気付いたイズナビに口を解放され、クラピカの嬌声が響き渡る。
他人の汚濁にまみれた腹や胸に、クラピカ自身の熱い白濁が次々と重なった。

「ああぁ…ッ、うッ、あぁ……っ」

下腹部の収縮に伴う快楽の波に襲われ続ける中で、左右から顔にかけられる感覚、そして体内へと白湯を注がれるような感覚にも見舞われる。
それを気持ち悪いとも嫌だとも思えないまま、クラピカは暫し、強制的な悦楽とその余韻に浸された。









「はー…、はぁ……っ、は…」

ようやく体が熱から解放され、クラピカはぐったりとシーツに身を預けた。
瞳の色も、鎮まっていく。脳にはまだ、少し痺れるような余韻が残っていた。

「あ……ぅ…」

ズルリと、レオリオの陰茎が引き抜かれていく。
同時に、どろりと、生温い何かが漏れ出していく感覚。

「さすがに出し過ぎだな、溢れちまった」……レオリオの声。
「もう、おなかいっぱいか?」……師匠の声。
「そろそろ、服は脱ぎましょうか」……リンセンの声。

着心地の悪くなったベトベトのスーツを脱がされながら、クラピカは思い出す。
“ 休憩させてやろう ” ……レオリオの声は、確かそう言っていた。
休憩なんか必要ない。好きにすればいい。さっさと終わらせればいい。未だ心折れないクラピカは、本来ならそう叫びたかった。
それでも黙っているのは、時間稼ぎだ。クラピカの体を狂わせているのが薬の作用にせよ、何者かの念能力にせよ、これほど強力な効果が時間無制限だとは考え難い。クラピカの体力が尽きる前にその効果が切れれば、反撃の機会は得られる。そのためなら、休憩させてくれるというなら好都合だ。

「あ……」

全裸にされたクラピカは腕を引かれ、イズナビに後ろから抱きかかえられるような格好で座らされた。
師匠の腕の中にすっぽりと、クラピカの体が収まる。
……太く、逞しい腕。クラピカを鍛えてくれた腕。手合わせでは、クラピカは一度も師匠には勝てなかった。
陵辱を受けて疲弊した体を、その力強い腕に優しく包まれて、クラピカは不覚にも安心感を覚えた。幻覚にすぎないと分かってはいても、声や体ばかりでなくオーラまで本人そのものでは、無理もない話だった。
座ったその姿勢で、クラピカはその背を素直にイズナビに預け、もたれかかった。休める時に、少しでも休んでおかなくては。

「すっかり疲れちまってるな、クラピカ」
「じゃあ約束どおり、お尻とお口は休憩な。………で、その代わり、」
「…ッ!?」

レオリオとバショウに片足ずつ掴まれ、大きく開脚させられる。
同時に、イズナビはクラピカの両手首を捕らえ、後ろ手に拘束してしまった。
クラピカが慌てて身を捩ろうにも、イズナビは片手だけでクラピカの両手を戒め、空いたもう片方の腕でクラピカの体をホールドしていて、体はほとんど動かせない。

「あッ、ひぁ……っ」

そうして無防備に晒されたクラピカの陰茎を、リンセンが口に咥えた。

「や……ッ、は、あっ」

リンセンは、唇と舌で亀頭ばかりを嬲りながら、根元を手で扱く。
出したばかりで萎えていたクラピカだが、敏感な括れや裏筋ばかりを舌で弄られて、為すすべなく硬さを増していった。

「あぅ……ッ、………、……?」

しかし、リンセンの手と口は、クラピカを中途半端に高めただけで離れていった。
また強制的に射精させられることを予想していたクラピカは、あっけなく解放されたことに、逆に何か不安めいたものを感じた。
目を開けてみると、リンセンは、黒く細長く、柔らかそうな道具を持っていた。
そしてリンセンは片手でクラピカの陰茎の根元を掴み、片手でその道具の先端を、尿道口へと押し付けたのだった。

「………?」

それを見てもクラピカはまだ、道具の使い道を察せない。
明らかに何も理解っていないクラピカの表情を、男たちは楽しげな笑みで見つめた。

「では、ボス。少し痛みますが、暴れないでくださいね」
「………ッ!? あ、ああぁ……ッ!!?」

尿道に、ズブリとその細長い道具を挿し込まれて、クラピカは大きく仰け反った。

「あ……ッ! あぁ……ッ!!」

ズブズブと奥へと道具が沈み込んでいく。
クラピカは必死で抗おうとするが、両手と両脚を三人がかりで押さえ込まれていれば、逃げられるはずもない。

「あぅ……っ、いあぁ……ッ」

尿道を拡げられる感覚、そして奥へ奥へと何かが埋まっていく感覚に、クラピカはただ首を振ることしか出来ない。
リンセンは、適度な位置までそれを挿し込むと、そこで手を止めた。

「さすがボス。よく最後まで暴れずに我慢しましたね」
「………っ」

暴れたくとも暴れられなかったのを理解したうえでの台詞が、クラピカにまた屈辱感を与える。
クラピカの尿道からは、数センチほどの黒い挿入部がはみ出て、その先端に白いスイッチが付いている。
その様相は、まるでクラピカの陰茎が何かを生み出しているような妖しさがあった。

「………ん、ぁ…っ!!」

リンセンがスイッチを入れると、それはクラピカの尿道の中でブルブルと細かく振動し始めた。
クラピカは突然の感覚に身を竦めた。だが、刺激自体は、それほど強烈なものでもない。

「じゃあこのまま、休憩にしましょう。三十分でも一時間でも、ボスが望む限り」
「ッ………、」

このまま、休憩。それは好都合だと、クラピカは素直にそう思った。
確かに息は荒くなる。内部からじりじりと弱火で焦がされるような、微弱な快楽も続いている。
それでも、男根を前後に挿入され揺さぶられるよりは、かなり体力を温存できそうだと、クラピカはそう思ったのだった。

「………、」

クラピカは目を閉じた。信頼する面々がこの状態のクラピカを楽しげに眺めている姿は、幻覚だと分かっていても、精神に触る。
……わざわざクラピカを休憩させる理由は、相手には無い。つまりこれは男たちの休憩のための時間なのだろうと、少しずつ熱に痺れていく脳で、クラピカは考える。
後ろや口に出された回数、それから体にかけられた回数、全てを合わせて三十回以上。それで休憩が必要だというのなら、クラピカを囲む男たちの人数はおよそ、

「……、…あ………?」

そこでクラピカは思考を中断せざるを得なかった。
……体が、おかしい。刺激自体はごく淡いはずなのに、与えられる小さな疼きが下腹部に溜まっていき、それは徐々に、耐えられない大きな感覚へと近付いている。

「あ……、…あ………ッ」

また、瞳の色が赤色に染まっていく。
熱を逃がすために体を動かそうとしても、三人がかりで押さえ込まれた体は、やはり首から上しか動かせない。
男たちは、明らかに反応し始めたクラピカを、何も言わずただ楽しげに観察し続ける。
膀胱の手前まで挿し込まれた尿道バイブは、尿道を取り囲む前立腺を的確に震わせている。精液の一部を生成する臓器であるそこを強く刺激されれば、体は否応なしにオーガズムへと昇っていく。

「…うぅ……ッ、ああぁ……」

クラピカには当然そんな知識はなく、経験もない。尿道への振動刺激だけで追い詰められていく己の体に、ただ戸惑い、震えるしかない。

「は……っあ、あぁ……、うあぁ…っ」

体の奥の内臓が、直接脳へと送る快楽信号。
クラピカの額から滲んだ汗が、ぽたぽたと、雫になって落ちる。
そして、深みから一気に体を抉られるように、その瞬間は訪れた。

「ひあ……ッ、ア、あっ、ああぁッあああぁ…ッ!!」

体から押し出されるような叫び声を響かせて、クラピカはオーガズムを迎えた。
下腹部で熱が弾ける感覚。脳に電流が駆け抜け、痺れる感覚。
目を閉じたまま、瞼の裏に映る視界が真っ白に染まる。

「うあぁッ、あああぁッあ……ッ!!」

その絶頂感は、射精に似て、少し異なる。精液を出せば終わる射精よりも長く続き、そして深い。
尿道ではバイブが震え続け、絶頂による快感を底上げする。
終わらない快楽を少しでも体外へ押し出すかのように、クラピカは意味を持たない声を上げ続けた。

「ああぅ……ッ、うぅ……、……はっ、はぁ…、はー……」

それでもなんとか波が過ぎ去ると、クラピカはまたイズナビに背を預け、ぐったりと力を抜いた。
手足は、力を入れ過ぎていたのか、じんと痺れる感覚が未だに残っている。
荒い息を鎮めようと試みながら、クラピカは思う。
……とにかく、これに耐えれば良いだけなら、体は休められるはずだ。少しでも体力を回復させなくては。少しでも……

「……あ、…あ………?」

しかし残酷にも、クラピカの体はすぐに、次の絶頂へ向けて高まり出す。
いわゆるドライで迎える絶頂では、射精が起こらない。つまり多量のプロラクチン分泌を伴わないため、興奮は完全には鎮まらない。事実、クラピカの緋色は、絶頂を終えても発現したままだった。

「く……ッう、は、あぁ……ッ」

興奮が持続したままの体で前立腺を刺激され続ければ、当然、次の絶頂はすぐに訪れる。

「ひぁ…ッく、ああぁっ、うああぁああぁ……ッ!!」

体を浮かされて遠くへ飛ばされるような、途方も無い悦楽。
一度目の絶頂との間隔はあまりにも短く、クラピカは快楽の波を終えてようやく、自分が二度目の絶頂を迎えていた事実に気付いたのだった。

「………ッ、ま…、また……」

二度目を終えても、当然、興奮が鎮まりきることはない。
むしろ、中途半端な昂ぶりの続く体は、早く絶頂を迎えて興奮を鎮めようとして、刺激に対する敏感さを増していく。

「ああぁッ、あ、やっ、ふぁ……ッあああああ!!」

……体を休めるどころではない。
三度の絶頂を経て、クラピカはようやく、痺れの取れない脳でそう思った。

「クラピカ、このまま何回イケるかなー?」
「〜〜〜……ッ」

揶揄するような声に、汚辱を感じる余裕もない。
陰茎の奥が熱い。震える。また、いってしまう。

「イ……ッあ、ア、あぁッあああぁ…ッ!!」

四度目。
体を休めるどころか、息を整える暇すらない。ただでさえ快楽の連続で体は酸素を求めているのに、絶頂している間はひたすら大声で叫ぶしかなく、酸素の供給が追い付かない。

「あああぁッ、ひぁっあ、ああああぁッ!!!」
「気持ち良さそうだな〜」
「犯されてボロボロの顔も良かったけど、感じてる顔は絶品だな」
「よだれが垂れてますよ、ボス」

何度も何度もイキ顔を晒しながら、それを恥じる余裕もない。

「っはぁ、はッ、はぁ……っ」

いつの間にか両手を解放されていたクラピカは、背後から自分を抱き締めるイズナビの腕にしがみ付いていた。
幾度もの激しすぎる絶頂の中、この腕だけが拠り所のような気がしていた。
背中全体に触れる、イズナビの体温。クラピカを包む、イズナビの腕。絶頂の合間の僅かな休息の時間、クラピカはその懐かしい感覚に少なからぬ癒しを得ていた。

「も…あぁ…ッ、ふぁ、やっあ、あああぁ…ッ!!」

幻覚だと分かっていてもイズナビに縋りたいほど、それは過酷だったのだ。
いつ終わるのか分からない、絶頂地獄。

「いぁっ、また…、またイ……っああぁ、ああああッ!!」

オーガズムを迎える瞬間は、酷く無防備だ。何をされても、きっと抵抗できない。
その無防備な間、師匠の腕に守られていると思い込むことで、心の安定を得たかったのかもしれない。

「はぅっ、はぁうッ、は、あ、」
「大丈夫か? クラピカ」
「そろそろ十回ぐらいか。まだまだイケそうだな」

絶頂の合間に聞こえた声に、クラピカは薄っすらと目を開けた。

レオリオ、リンセン、バショウ。

クラピカは自分の信頼する男たちの顔を見て、そこにも微かな安心感を覚えた。自分を苦しめているのは彼らなのに、彼らの顔は幻覚に過ぎないのに、それでも止まらない絶頂の中で、例え幻覚でもその顔は救いだったのだ。

「休憩させてやるのは、口と尻だけでいいんだよな? じゃ、ココ弄ろうかな」
「ひいぃ……ッ!?」

レオリオが、クラピカの右の乳首に舌を這わせる。
刺激そのものも、不慣れなクラピカには辛い。
だが真に辛いのは刺激そのものではない。……そんなことをされては、次の絶頂がすぐに来てしまう。

「もっや、あ、あぁッあ、ひああああぁッ!!」

絶頂の間も乳首を舐められ続け、絶頂感を底上げされて、クラピカは必死で首を振った。

「じゃ、オレも」
「オレはこっち」
「っふぁ、やあぁ……!!」

バショウが左の乳首を、イズナビが耳を舐め始める。

「ボスも慣れてきた頃でしょうし、ココもこうしましょう」
「ッひああぁ!? イっ、は、いあぁッ!!」

リンセンの手は、尿道に刺さったバイブを持ち、軽く抜き差しし始めた。
尿道の奥で、前立腺がゴリゴリと擦られる。
そして尿道で何かが動くことで、排泄しているような、射精しているような、何かを漏らしてしまっているような感覚がクラピカを苛む。

「っひ、いぁっ、うあぁッ、あああぁッうあああぁ……ッ!!」

当然のように絶頂の間も責められ続け、クラピカは乱れ狂う。
快楽物質を受容し続けた脳は、痺れるように熱く、思考を苛む。
刺激が強すぎて、絶頂が近すぎて、息継ぎが足りない。
体がだるい。休みたい。

「うあ…ッ、や、またぁ、あっ、あああぁッきああ!!」
レオリオ、助けてくれ。

「ああぅ……、っは、はぅ、」
……違う、幻覚だ。

「くぅ……ひッ、いァッ、やぁーッ、あああああ!!」
リンセン、やめてくれ。

「……んはっ、は、……はぁ…っ」
……違う、幻覚だ。

思考力が薄れ、つい信頼する姿に縋りそうになっては、全ては幻覚だと思い直す。
自分が上手く保てない。幻覚を遮断するために何度も目を閉じても、絶頂が終わると、解放感で自然と目を開いてしまう。そしてまた幻覚に悩まされる。

「はんッ、あ、……んぁッあぁッ、やああああ……ッ!!」

後ろから耳を舐められ、乳首を左右から舐められて、尿道バイブで前立腺をゴリゴリと擦られながら、クラピカはただ叫び続けた。

「……ひぃ…ッ、も、いあぁッ、ああああぁっあああああー……!!!」

そこにあるのは、ただ強い快楽だけだ。
快楽以外の感覚は、痛みも苦しみも、一切ない。
……だが、過ぎる快楽は、拷問にも似た苦痛に転じるのだ。クラピカは身をもって、それを思い知らされ続けた。





   *  *  *





何十回、イかされただろう。
クラピカは絶頂を迎えている時以外、人形のように虚ろな目でぐったりと動かなくなっていた。

「おーい、クラピカ?」
「限界か? マフィアの若頭様なら、もーちょっとイケるだろ?」

虚を見つめ、荒い息を繰り返すばかりのクラピカは、答えない。

「……そろそろ、終わりにするか?」

しかしレオリオのその声に、ピクリと、クラピカの視線が動く。

「お、ちゃんと聞こえてたな。そもそもお前のための休憩時間なんだから、お前が終わりでいいなら、そうするぜ?」

レオリオは立ち上がると、その男根をクラピカの目の前に見せつける。

「ほら、これを……」
「……っくぁ、ひ、ああぁッ、あああああぁー…!!」

クラピカの悲痛な嬌声が、また響き渡る。
話の途中だろうが容赦なく、絶頂は訪れる。

「ああぁ……ッ、あ……はぁっ、は、」
「……こんなんじゃ噛まれそうだな…一度、止めてくれ」
「はいはい」

カチン、と尿道バイブのスイッチが切れる。
同時に、イズナビやバショウも、クラピカの体を責めるのを止めた。
陰茎にバイブを挿れられたままとはいえ、クラピカはそれ以外のすべてからようやく解放された。崩れ落ちそうになる体は、しかしイズナビの腕にしっかりと支えられている。

「じゃあクラピカ。充分に休憩した口で、これ、咥えな。上手にできたら休憩は終わりってことで、バイブは抜いてやるよ」
「………」

クラピカは、目の前に突き出されたそれを、焦点の定まらない目で見つめた。
ここまで体を追い詰められてもなお、クラピカが考えるのは 『 生き延びるのに有利な選択肢はどちらか 』 だった。
従順にそれを咥えて、男たちを満足させるべきだろうか。抗って 『 休憩 』 を引き延ばす方が、時間稼ぎには有利だろうか。
……男たちの雰囲気からすると、全員、クラピカが素直に咥えると信じて疑っていないようだ。期待を裏切って、万一つまらないと評価され殺されては、元も子もない。
だからクラピカは、その汚物を咥えた。
体など、好きにさせてやる。心が屈しなければ、それでいい。

「ん……っ、ん……」
「慣れてきたな、クラピカ。まあまあ上手だ」

レオリオが、クラピカの頭を撫でた。
クラピカは今日、既に十回以上も咥えさせられている。学習能力の高いクラピカのこと、多少のコツは掴んでいた。
狭い喉の奥へ迎え入れる行為も、自分からするのならば、呼吸のタイミングを調整してなんとか出来る。
どこを刺激すれば効果的なのかは明確には分からなかったが、自分が責められた時のことを思い出せば、おおよそ当たりは付けられた。

「んむ……、ん、ん……ッ」

強制絶頂地獄が怖くて、尿道バイブを抜いてほしくて、必死で男根をしゃぶっている。
そうとしか見えないクラピカの悲哀に満ちた姿は、男たちの劣情を誘った。

「もうすぐ出そうだな…、そうだクラピカ、全部飲めよ」
「………!!」
「お口の休憩が出来たんなら、飲めるはずだろ? 飲めなきゃ、休憩続行、バイブは挿れっぱなしにするぜ」

今日、クラピカはそれを飲めと何度も言われたが、一度も出来ていなかった。あまりにも青臭く、粘つく気持ち悪いそれを飲み込むことは、クラピカには出来なかったのだ。

「ッんんぅ!?」

突然、下へと何かを挿入され、クラピカは師匠の腕の中でビクンと跳ねる。

「お尻の休憩もそろそろ終わりでしょうから、コレで慣らしておきますね」
「…んぅぅ……!!」

リンセンがスイッチを入れると、クラピカの直腸が震わされる。
それは決して太くはないが、前立腺への刺激に特化した形状のバイブだった。尿道越しの刺激で開発された前立腺は、直腸越しのバイブの刺激にも容易に反応し、またクラピカを高みへと追い込み始める。

「それから、こちらも。尿道バイブを抜いたらすぐに出せるように、準備しましょう」
「ん…ッ、んー……!!」

リンセンは更に、クラピカの陰茎を扱き始めた。
クラピカの体に、前立腺刺激とはまた違う性感が襲い掛かる。久し振りの感覚に、クラピカはつい全ての意識をそちらへ奪われそうになった。

「んん…ッ、んんぅ…っ」

何度も何度も絶頂を覚えさせられた体は、また簡単に高みに昇ってしまう。
今にもこのまま、果てきってしまいそうだ。
思考がゆわんと揺らぎ、絶頂に導かれる感覚に体の全てを持っていかれそうになる。しかしその前に、とにかく咥えたこれを、なんとかしなくては。霞んだ思考の端に残っていたその義務感に従い、クラピカはより一層、必死で口を動かした。

「よし……出すぞ、飲めよ」
「んぅ……ッ、んむっ、んんぅ……ッ!!」

口内に他人の臭いが溢れかえるが、クラピカはそれどころではなかった。
前立腺へのバイブの振動、そして陰茎への手淫で、もはや体は絶頂直前だったのだ。
しかも、前立腺刺激によるドライの絶頂と、陰茎刺激による射精、その両者の絶頂が同時に迫ってくる、初めての経験。
絶頂直前の、最も体が昂った状態、イクことしか考えられない中で、それでもクラピカはなんとか己に課された義務を思い出し、一口だけそれを飲み込んだ。味も臭いも分からないほどに追い込まれたからこそ、出来たのかもしれない。

「ひぅ…ッ!?」

クラピカが飲み込んだ瞬間、リンセンは陰茎を扱いたまま、尿道バイブを引き抜いた。
何かがズルズルと尿道から出て行く感覚に、クラピカは今まさに自分は射精したのだと一瞬、思った。

「うぁ……ッ、ヒ、うぁ…あああぁッ、きあああああ!!!」

そして訪れる、本物の射精と、前立腺によるドライの同時絶頂。
大きく叫ぶクラピカの口から、ドロリと精液が零れていく。
わけの分からない快楽の渦に飲み込まれて、このまま意識を飛ばしたくても、クラピカの体に次々に襲い来る刺激がそれすらも許さなかった。

「ひぅッ、ひぁッあああぁ…ッ!!」

まず、後ろに刺されたバイブが引き抜かれる。そして。

「はあぁッ!? ああぁッ、いあああぁッああ!!」

絶頂の治まらないままのクラピカに、リンセンが挿入を果たす。

「イッてる時の締め付けはまた格別ですね、ボス」
「あッも、あッ、ひあぁッ、ああぁー…!!」

仰向けに寝かされ、イキ終わらないままに突き上げられる。
自分に何が起こったのかも分からず、クラピカは激しい絶頂感に体を支配されたまま、ひたすらに叫び続けた。



「…はぁ、あっ、ぁ……あ……ッ」

やがて、真夜中に悪夢から目覚めるかのごとく、クラピカの思考に現実が映り始める。
射精を迎えたことで、ようやく興奮は鎮まり、長く発現していた緋色もようやく影を潜めた。
クラピカは現状を理解する。今は、リンセンに犯されている。そして、連続絶頂で疲れきった体は、突き上げられる度に、素直な喘ぎを漏らしていた。

……リンセン。
クラピカは、彼の前では特に、毅然とした態度を心掛けていた。
リンセンの方が古株で、年上だ。なのに自分がボスとして立てられている。
リンセンに不満はなさそうだったが、それでもクラピカは、彼に頼りないボスだと見做されぬよう、弱みを見せないよう心掛けていた。

それが、こんなふうに犯されて、だらしなく喘いでいるなんて。
幻覚だと理解していても、興奮が鎮まり冷静さを取り戻せば、その事実は酷くクラピカの心を苛んだ。

相変わらず、クラピカに見えるのは半径三メートル程度。その先は、白い霧。音が聞こえるのも、この範囲に限られる。
体には、上手く力が入らない。念も使えない。
思考も霞がかったようにぼやけ、自分が何故この状況に陥ったのかも思い出せない。
この白い空間で、いつまで耐えれば良いのだろう?



「クラピカ」

力なく喘ぐばかりになったクラピカに、レオリオが右から声を掛ける。
レオリオの手には、先ほどまでクラピカに刺さっていた、あの黒い尿道バイブ。

「一口は飲めたから、とりあえずご褒美で抜いてやったけど、本当は全部飲めって約束だったよな。ほとんど零しちまってたし、もう一度挿れるぜ」
「…………ッ!!」

クラピカが慌てて もがこうとするも、すかさず男たちに四肢を取り押さえられる。
挿れやすいよう、リンセンも突き上げを止めた。
クラピカの芯は、リンセンに中を擦られる刺激で、既にそれなりに硬くなっていた。

「…っく、あ、ぁ………ッ」

レオリオの手で、またズブズブと尿道バイブが埋め込まれていく。
スイッチを入れると、散々クラピカを苛んだ前立腺刺激が再開される。

「それと、上手く飲めなかった罰ゲームってことで、これもな」
「あ……ッ!!」

レオリオが更にクラピカの陰茎に取り付けたのは、電動タイプの、ピンク色の非貫通型オナホール。
適度な弾力の樹脂でできたそれが、内部にローションをたっぷり満たした状態で、尿道バイブごとクラピカを包み込む。

「う……ッあぁっ、く……っ」

そちらも振動スイッチを入れられると、内部に張り巡らされた突起が、クラピカの陰茎の全体を責め立てる。
特に亀頭や括れ、そして裏筋といった敏感な部位に触れる突起が微細に振動する感覚は、無数の指先でそこを引っ掻かれているような、直接的な官能を生み出した。
自分で外してしまいたくて身を捩っても、両腕は頭上でイズナビに押さえ込まれている。

「……あッ!! あっ、はぁッあ、やっ」

更に、リンセンも突き上げを再開した。
揺さぶられ、喘がされると、陰茎に与えられる感覚に耐えることに集中できなくなる。深く突き上げられる一瞬は、完全に無防備に、陰茎からの快楽を受け入れてしまう。

「元々いい締まりですけど、感じてると格別ですね。ビクビク締め付けてきて最高ですよ、ボス」
「あぁッ、やっ、ひぁ……ッ」

尿道バイブだけでも、クラピカを絶頂に追い込むには充分だ。
そこに陰茎への直接的な刺激、そして直腸越しの前立腺刺激まで加われば、もはや耐えきる術はない。
ようやく鎮まっていた緋色が、またクラピカの興奮を受け輝きを増していく。
クラピカは思った。また、さっきと同じ快楽地獄が始まるのだと。

「あ……ッ、いぁッ、も、あぁ……ッ」

クラピカの全身がビクビクと痙攣する。
背中を走る神経の束に快楽が駆け抜け、脳を痺れさせる。
強烈な絶頂感が押し寄せ、それに抗うことも出来ず、クラピカは大きく体を仰け反らせた。

「うぁ………ッ、あ、ひぁッああああぁ……!!」

体中の熱が爆ぜるような、強烈な快感。
ドライによるものと、射精に向かうものの、同時絶頂。
宙に浮かされるような圧倒的な興奮は、深く長くクラピカを苦しめるが、しかし治まってしまえば一時は体が楽になる。
………はずだった。

「…あ……、あ………!?」

しかしクラピカは、絶頂が治まってもなお熱から解放されなかった。
理由は単純だ。埋め込まれた尿道バイブが尿道口を栓のように閉ざしているため、精液を放出することが出来なかったのだ。
絶頂感だけが訪れ、しかし射精は適わない。
クラピカの体は、絶頂を終えて楽になるどころか、焦燥にも似た感覚に蝕まれた。

「あぁ……ッ、う、く、ああぁ……っ」

何故、出せなかったのだろう。早く、出したい。クラピカの本能はそう告げる。
そして、クラピカの体はより早く次の絶頂に至るため、感度を上げる。
その結果、本能の望むとおり、次の絶頂は異様に早く訪れた。

「…ああぁ……ッ、ひあぁッあああああ!!」

快楽が弾ける。二度目の絶頂。
当然、射精は許されないままだ。

「弱い乳首も触ってあげますね」
「やッ、ひうぅっ」

突き上げながら、リンセンの指が、グリグリとやや乱暴に乳首を揉み上げる。
色付いたクラピカのそこは、確かに敏感で、クラピカの喘ぎを更に甘やかにした。

「んあぁ……ッ、や、は、ああああぁッ!!」

胸先から股間へ、そして脳へと痺れていくような、三度目の絶頂。
頭の中が溶け落ちるように甘く痺れて、しかし射精できない体が満足することはない。
早く出したい。早く早く、出したい。そのために早く絶頂したい。

「うあぁッ、ひやあっあああああ……!!」

四度目。
その直後、クラピカの体内に、リンセンの精液がぶち撒けられた。

「はふ、はぁっ」
「イく時の締め付けは格別ですね。良かったですよ」
「ああぅ……っ」

ズルリと引き抜かれていく感覚さえ、今のクラピカは快感として受け止め、絶頂の糧にしてしまう。
出したい。出したい。出すために、イきたい。本能がクラピカに訴える。

「イッたのにイッてないって、結構辛ェだろ? しばらくそのまま、頑張れよ」
「ひあぁ……ッ!! あぁッ、ふぁっあああああ…っ!!」

イズナビに挿入された瞬間、クラピカは五度目の絶頂を迎えた。
入り口を拡げられる痛みを伴う感覚、中を他人の体温で埋められる感覚、そんな感覚すら絶頂を後押しするのだ。

「なんだ、挿れられんのそんなに気持ちいいのか?」
「はぅッ、はあぅっ、あ、あっ」

当然のように突き上げられて喘がされ、息継ぎすら叶わない。

「感じまくりながら犯されるって、どんな感じだ?」
「うぅ…っ、あ…あぅッ」

レオリオは、クラピカの腕を取り押さえながら、上半身を撫で回す。
優しく肌を撫でていたその手のひらが、不意に乳首を軽く弾いた。

「ひやぁッ、あ、ア、うああぁっああああー!!」

六度目。
乳首を弾かれると共に、理性まで弾き出されるようだった。

「すげーな、イキっぱなしだから締まりまくりだぞ、クラピカ」
「やぁッ、やうぅっ」

イズナビはクラピカが絶頂している間にも、動きを止めずに突き上げ続ける。
イズナビの男根により直腸越しに擦られる性感帯は、前立腺ばかりではない。その深い抽挿は、精嚢や膀胱といった性感帯をも刺激して、クラピカを追い立てていく。

「あぅ……ッ、ふやっ、アッ、ああああっぁあ!!」

七度目。
絶頂により放出されるはずの熱が、放出を妨げられ、クラピカの内でグルグル回る。
熱が体に溜まりすぎて、爆発しそうだ。
体を楽にするために、熱を解放するために絶頂を求めるのに、絶頂しても解放されないから更に熱くなる、悪循環。
つらい、早く出したい。早く。

「あ、あ、あぁッ、いあああッあああ!!」

八度目。また体内に、精液をぶち撒けられる。

「クラピカ、頑張ったな」
「あ……はあぁ…っ」

また引き抜かれていく感覚。
そしてすぐに、次の男根が挿入される。

「いやぁ……ッ、あああぁッうああああ…!!」
「本当に締まるな、すげぇ」

九度目。
今度はレオリオに、ズンズンと遠慮なく奥を突かれる。前立腺も、精嚢も、膀胱も、全てが刺激される。
陰茎を包むバイブも、容赦なくクラピカの陰茎を締め上げながら、内部のイボで亀頭や裏筋を擦り上げる。
尿道バイブは、クラピカの精液を塞き止めながら、前立腺に一定の刺激を与え続ける。
止めてほしくても、どんなに止めてほしくても、何一つ止まらない。

「うあぁ…ッ、も、や、あああぁんッあああ!!」

今度は、絶頂と絶頂の間に、つかの間の休息すら許されない。
出したい。出したい。常にその欲求に捕らわれて、胸を掻きむしられるような激しい焦燥感が、クラピカを苦しめ続ける。

「ん、やあぅ…ッ、……アあぁ…ッああああッああぁ!!!」

出したい。絶頂したのに、出せない。出したい、早く、早く。
絶頂の度に、遠いどこかへ散り薄れかける意識は、ただその欲求のためだけに現実へ引き戻され、次の絶頂を極めようとする体に無理やり付き合わされる。
イッたって出せない。クラピカはそう分かっているのに、本能は、イけば終わると信じている。
だから本能は何度でも、クラピカをイかせようとする。

「や…ッ、やあぁッ、ま……っ、アアっぃああああああ!!」

噛まれることを危惧してか、クラピカの口は犯されなかった。
ただ、クラピカは男たちに代わるがわる挿入され、中に出された。
クラピカを犯す男の声は、時に幼かった。けれど目を閉じ叫び続けるクラピカは、それを気にする余裕もなかった。ひたすらに早く、出したかった。

「ひぃ……ッあ、あああぁッ、ひあああああ!!」

体内に放たれる精液の生温かさを感じる度、クラピカはただただ恨めしかった。
自分は出せないのに、出したくても出せないのに、どんなに出したくても出せないのに。
自由気ままにクラピカの中で欲望を解放できる男たちが、ただただ恨めしかった。

「あぅぅっ、や、あぁッ」

もう耐えていたくない。
もう、一度だってイキたくない。頭がおかしくなる、イキたくない。
でも出したい。出したい。出すためには、イかないと。

「……ひぐぅ…ッ、あ、ふぁッあああっああぁ!!!」
陰茎が、根元から亀頭まで余すところなく締め付けられ、無数のイボに擦られる。

「ああぁッ、きぁぁ…っふあああああっ!!」
尿道バイブで、尿道とその奥の前立腺が、震わされる。

「あ、ふぁッ、ふあぁっ、あああぁッひいああああぁー!!」
クラピカの中を穿つ男根が、前立腺も、精嚢も、膀胱も、すべてを抉っていく。
男たちは戯れに、クラピカの肌を撫で、乳首を撫で、時には指や足までをもしゃぶる。

「はふ、はぅ……、うぁ…ッ」
何度、イッただろう。何度、耐えただろう。
もう、どこの刺激でイかされているのかも分からない。
どの刺激でイかされても、考えることはただ一つ。出したい。




「あぅ…ッ、は、はあぁッ、ひやあああああぁッ!!!」

無限とも思える時間、クラピカは叫ばされ続けた。
機械は疲れを知らない。次々に交代する男たちも、疲弊することはない。どれも一切の容赦なく、無慈悲な鬼のごとくクラピカを苦しめる。
イきたくないのにイかされる。
どの刺激でも絶頂するし、どの刺激でも射精できない。
出したい。出せない。出したい。出せない。

「はぁ、は…っ、あッ」
「そろそろ出したいよな、クラピカ」

クラピカを犯しているイズナビにそう問われ、クラピカは反射的にコクコクと頷いてしまった。
見知らぬ男の声ならば、いくら理性が溶けた状態でも、こんなに素直には反応しなかっただろう。しかし、こんなボロボロの状態で信頼する師匠の声を聞かされては、咄嗟に幻聴だと意識できなかったのだ。

「じゃあ、そうだなぁ……、“ ちんぽください ” って一生懸命お願いできたら、出させてやるよ」
「 “ ちんぽミルクください ” の方が面白いんじゃねーか?」
「ああ、じゃあそれも追加な」
「う……っ、ああぁ…ッ」

こんな極限状態でも、クラピカが考えるのはやはり、『 生き延びるのに有利な選択肢はどちらか 』 だ。
しかし。

「あぁ…っ、やあああぁッふああぁッ!!」

考えている間にも陰茎を擦られ、また射精を許されない絶頂が訪れて、解放できなかった熱が下腹部を、喉を、脳を、ぐるぐると回る。
考えられない。考える余裕がない。
でもこれまでは、従順になる選択肢を選んできたはずだ。だから今も、それで良いはずだ。
クラピカはそう考え、目を閉じたまま、恥ずかしい言葉を紡ぐために口を開いた。

「……ち……、ちん…っ」
「目を開けて、ちゃんとオレ達を見て、言ってみな」

男たちは当然、分かっている。
クラピカが、信頼する面々の幻覚を見たくなくて、出来る限り目を閉じているのを。

「…………っ」

クラピカはおそるおそる、目を開けた。
クラピカを犯す、師匠。
左右で、クラピカの手で自身の男根を扱いているのは、レオリオ、バショウ。
クラピカを楽しげに眺めているのは、リンセン、ゴン、キルア、そして……

………パイロ。

クラピカの視線が、そこで止まる。
幻覚とはいえ五年振りに見る、その姿。
成長したクラピカとは違う、昔のままの幼い姿に、クラピカは胸を抉られるようだった。
心から楽しいと言える旅をすると、約束したのだ。それが最後の会話だった。
約束したのに。
今、クラピカは。

「…ちんぽ……、を…」
「もっと大きな声で、ちゃんと可愛くおねだりしろよ。棒読みじゃ興醒めだからな」

二人で、外の世界に憧れた。外の世界には知らないものがたくさんあって、何があってもちゃんと助けてくれる人達がいて……何度、パイロとそうして語り合い、外の世界に思いを馳せたことだろう。

「ちんぽ……っ、ちんぽ、ください……っ、もっとください……」

その憧れの外の世界で今、クラピカは、外の世界の人たちに輪姦されている。誰も助けに来ない。誰も。

「ちんぽミルクッ、ください……っ中に出してくださいっ、もっと、かけて…ッ、ちんぽミルク…ちんぽぉ……ッ!!」

パイロ。こんな目に遭わされて、辛いのに、苦しいのに、誰も助けに来ないよ。

知らず、クラピカの眼には涙が溢れていた。
ぽろぽろと涙を零しながら ちんぽをねだるクラピカの姿は、さながら哀れな性奴隷そのもので、男たちの嗜虐心を充分に満たしたのだった。

「ちんぽ…、ちんぽ……ッ」
「上手に言えたぞ、クラピカ。約束どおり、楽にしてやるからな」
「目は開けてろよ。目ぇ閉じたら、またコレ付けるからな」
「……あ、あ……ッ」

クラピカを包んでいたオナホール型のバイブが外される。
もうすぐ出せる、ようやく出せる。
ボロボロに泣き濡れながらも、クラピカはその期待感でいっぱいだった。

「嬉しそうな顔だな。そんなに辛かったか?」

だらしなく緩んだ表情を指摘され、ハッと少しだけ理性が戻る。
改めて見れば、指示通り開けたままの目に映る、レオリオ、師匠、……大切な人たち。
……この人たちを見ながら、絶頂を迎えるなんて。
涙は止まらなかった。なんて悪趣味な幻覚なのだろう。本当はクラピカは、見知らぬ男たちに囲まれているのに。その本当の姿、きっと乱暴な男たちの姿に囲まれ屈辱の中で絶頂させられる方が、気分は楽だとクラピカは思う。

「は、あ………ッ」

それでも、尿道バイブがズルズルと引き抜かれていく感触は、まるで精液が尿道を通り抜けていくようで、いよいよ待ち焦がれた射精を迎えることを予感して、期待は更に高まってしまう。

「あ……あぁ…っっ」

尿道バイブは、もうすぐ完全に抜けきる。
ようやく出せる。ようやく射精できる。ようやく解放される。
もうすぐ、イッて楽になれる、もはやクラピカはそのことしか考えられなかった。

そんな瞬間に、突然、それは訪れた。

「…………ぁ……」

霧が晴れるように、クラピカの脳が冴えていく。
視力が、聴力が、蘇る。
幻覚が消えていく。

クラピカは気付けば、十人以上の下品な醜男たちに囲まれていた。

「………っ…」

冷水を浴びせられたような、血液が谷底に落ちていくような、それは冷たい衝撃だった。
顔が青ざめ、唇が震える。

クラピカを囲む誰も彼も、汚らしい男根を剥き出しでぶら下げている。
……あんなものが、自分の中に?
そして今まさにクラピカを犯している、腹の出た下品な男。
……こんな男に、今、自分は犯されているのか?

大切な人たちの幻覚よりも、見知らぬ男に絶頂させられる屈辱感の方がマシだと、そう思ったばかりなのに。

「う……ぅ…」

見知らぬ下品な醜男に一物を挿れられ、手でも掴まされ、そして集団でニヤニヤと眺められている、自分の状態。
少し離れた正面で、クラピカをビデオ撮影している男までいる。

「あ……、ぐ…」

こんなおぞましい状況で、おぞましい視線に晒されながら、もっとも無防備なオーガズムの瞬間を迎えるだなんて。

「い……ああぁ…」

しかし心が拒んでも、体は絶頂を求めて止まない。
ついに尿道バイブは完全に引き抜かれ、男はクラピカを突き上げながら、クラピカの陰茎を扱き上げる。
ようやく迎えられる射精を予感して、体はあっという間に高まっていく。

「あ……っ、…あぁ……ッ」

待ち望んだ、解放の瞬間。
長く我慢させられた分、最高の絶頂感が得られる、その瞬間。

「ううぅ……っ、うあああぁ………ッ」

クラピカには、それが絶望のように感じられた。
唾棄すべき男たちの前で、クラピカはこれから、最も無防備で、最も恥ずかしい瞬間をさらけ出すのだ。

「いあっ、いあぁ…ッあああッ、ア、あ、うわああああぁッ!!!」

それは絶頂の叫びでもあり、絶望の叫びでもあった。
醜悪な男たちの下卑た笑いをその眼に映しながら、クラピカは泣き叫んだ。
臭く汚らしい男の精液を左右から顔に掛けられ、更に中にも出されるのを感じて、クラピカは最高の絶頂感を味わいながら奈落へ落とされていくようだった。
悲痛な叫び声は、いつまでもいつまでも響き続けた。
















「ッはぁ、はっ、はぁ……っ、………は…」

荒い息を鎮めながら、クリアになった視界、そしてクリアになった思考力で、クラピカはそもそも自分がこの状況に陥った理由を明確に思い出していた。


  *  *  *


クラピカがボスと呼ばれ始めて、数ヵ月が経った頃。
クラピカは、ある大物政治家が緋の眼を所有しているとの情報を入手した。
政治家とマフィア。
一見、なんの結び付きもなさそうな取り合わせだが、裏では様々な癒着がある。
マフィア側が政治家に提供するのは、政治資金の洗浄、いわゆるマネーロンダリングに加え、対抗勢力への牽制、ボディーガード、非合法な裏カジノへの招待…枚挙に暇がない。
政治家も、懇意のファミリーが活動しやすいよう様々な便宜を図る。
今回も、そうした裏の関係筋から緋の眼所有者の情報が回ってきたのだった。

クラピカは、緋の眼を取り戻す方法を考えた。
今回の相手は大物政治家、数十億の別荘を平気で建てるような人種だ、金では動かない。
脅すようなことをして、今後ノストラード組が睨まれる事態もできれば避けたい。
となれば、今回は搦め手よりも正攻法だろう。

「なるほど。魅力的な提案だね、クラピカ君」

クラピカは単身、大物政治家とアポを取り付けて面会し、ノストラード組が今後その政治家に対して貢献できる内容をプレゼンした。
それは、その政治家の性格やこれまでの経歴、対抗勢力の傾向まで完璧に分析したクラピカならではの提案で、最初は無関心を隠さない態度だったその政治家も、目をギラつかせて話に食いついた。
しかし、その対価が緋の眼であることを聞くと、クラピカの想定通りではあるが、政治家は顔を曇らせた。

「アレは、金を積んだところでそうそう手に入れられる品じゃないからなぁ…」
「存じています。だからこそ、お譲り頂けるなら我々は貴方への協力を惜しみません」
「……どうしても譲れないと言ったら?」

瞬間、表面的には穏やかな表情のまま、クラピカの瞳が怒りと苛立ちに燃えたのを、政治家の男は見逃さなかった。男は汚い政治の世界で生き抜く中で、マフィアを含む裏の人間とも深く関わってきた。だからこそ男には分かった。クラピカは緋の眼を諦める気はない。仮に今回の話を断れば、強引な手段を用いてでも緋の眼を奪いに来るだろう。

「そうだな…クラピカ君が私の個人的なお願いを聞いてくれたら、考えてもいいかな」
「お願い、とは?」
「この場で、この薬を飲んでほしい。私を楽しませるために」

男が棚の奥から取り出した小瓶を、クラピカは黙って受け取った。
その小瓶に入った液体に、微弱ながら念のオーラが込められているのをクラピカは感じた。一般的な薬品ではないだろう。

「命に関わるような薬ではないし、君の体に後遺症を残すような馬鹿な真似もしないよ。君のような若者に下手に危害を加えると後々厄介なことになるのは、経験上知っているからね。ただちょっと、お楽しみを頂きたいだけさ」

クラピカはその言葉を、“ 隠 ” のダウジングチェーンで密かに確認した。
男の言葉に偽りはない。
クラピカは考えた。飲んだら、自分の体はどうなり、男はそれをどう楽しむのか。
例えば全身が激痛に襲われて、苦しむ様を楽しむ気か。
例えば五感を奪われ、無抵抗になった体を嬲る気か。
ただ、いずれにせよ、“ お楽しみ ” さえ済めば後遺症もなく解放されるというなら、クラピカに選択肢はなかった。

そして薬を飲み干したクラピカは、意識を失ったのだった。


  *  *  *


「先生、コイツ、この後どうします?」

最後までクラピカを犯していた男が、政治家に問う。
政治家の男は、クラピカを嬲るのを荒くれ者に任せ、悠々と椅子に座ったままクラピカの痴態を眺めていたのだった。

「頸動脈を押さえて失神させて、裸のままゴミ捨て場にでも置いてこい。大抵はそれで察して引く。仮にまた乗り込んできても、録画を見せてやれば黙る。……薬が切れるまで充分に時間はあるから、ゆっくりでいい」

汚濁にまみれボロボロになったクラピカを見て、政治家の男は一つ溜息を吐いた。

「提案は魅力的だったんだがなぁ。かなりキレる若者のようだし、即決で手を組みたいところだったが、対価がよりによって緋の眼ではな……惜しいことだ」

政治家の男は、緋の眼を手放すつもりなど最初からなかった。
あれは選ばれた者だけが所有できる至高の宝石だと、政治家の男はそう思う。
一般に政治家という生き物は、常に自信に溢れた振る舞いを要求される反動か、裏では目に見えぬ力を大切にする傾向が強い。例えば占いに傾倒する者、毎朝の習慣でゲンを担ぐ者など方法は様々だが、なんらかの不可思議な力を信じ頼ることが、普段の自信に繋がるのだ。
この政治家の男にとってその一つが、緋く美しい宝石だった。この宝石が手元にある限り、自分はこの世界で生き抜いていける。そう思わせるだけの有無を言わせぬ美しさが、その緋色の宝石にはあった。

「可愛かったなー、毎回こんな上玉なら楽しいのにな」
「マフィアの若頭様でも心を許しちゃう男ってのはいるんだな。幻覚で顔見た途端、凛々しいお顔が明らかに緩んでたし。レオリオ、だっけ?」
「でも好きってわけじゃなかったんだろーな、挿れようとしたらやたら抵抗激しくて参ったぜ」
「男を好きな男の方がレアだろ」
「フェラは素直にやってたけど?」
「脅したからだろ、そりゃ」

男たちは、クラピカから充分に離れた位置、つまりクラピカには声が聞こえないはずの距離で、クラピカの体の感想を口々に言い合った。

実際、クラピカの痴態は見事だったと政治家の男も思う。
気高き一匹狼のごとく美しい青年が、心を許した相手に体を溶かされ、戸惑い驚きながら乱されていく様子は、なかなかに見ものだった。
薬なしでの単なる強姦では、こうはいかない。その表情は怒りと屈辱にまみれるか、または無表情を貫くだろう。
幻覚だと気付かれたあたりで輪姦に切り替えたが、クラピカの艶めかしい体は始終男たちの劣情を刺激し続け、想像以上に見応えのある輪姦ショーとなった。

「さーて、信頼してる男からの首絞めでフィニッシュじゃ可哀想な気もすっけど、ま、気絶させるだけだしな。バーイバイ、マフィアのボスのクラピカちゃん」

クラピカを組み敷いた男が、クラピカの首に手を掛ける。

次の瞬間、男の体は吹き飛んでいた。

何が起こったのか、目で捉えられた者はいなかった。
ただ、瞬く間に男たちは次々と倒れていった。
そしてその場に残ったのは、豪奢な椅子に腰掛けた政治家の男と、そして、床に立つ一糸纏わぬ金髪の青年、ただ二人だった。

「ひ……っ」

男は焦った。おかしい。薬の効果が切れるまで、まだ三時間以上あるはずだ。薬への耐性が多少あったとしても、それでも早すぎる。
実際のところは、“ 纏 ” で強化されたクラピカの肉体は常人では及びもつかぬほど薬物代謝が速く、そのために早々に効果が切れたのだが、男には知る由もない。

クラピカの鋭い眼差しが、政治家の男を射抜く。

「ま、待て待て! 私は約束通り楽しんだだけで…」
「意識のない隙に、ゴミ溜めに遺棄するつもりだったのにか?」
「……!!」
「撮影も、お前個人が楽しむ分には とやかく言うつもりはないが、これをネタに脅すつもりだったのなら話は別だ」

クラピカは倒れた撮影係の男にゆっくりと近付き、撮影に使われていたビデオカメラを右足で踏み砕く。内部から弾け飛んだデータカードを、ダウジングチェーンの先端をぶつけて粉砕した。

「………さて、」

クラピカは政治家の男に向き直った。
自らの白濁と、そして下卑た男たちの汚濁にまみれながらも、その挙措進退は毅然として臆するところがなく、一種の荘厳さすら感じさせた。

「お前も、騙される方が悪いとのたまう口かな。騙す方が悪いに決まっている。異論はあるか?」
「…………う、う……」

一歩、一歩、ゆっくりとクラピカが歩み寄る。
男は座ったまま、微動だに出来なかった。
全身から、冷や汗とも脂汗ともつかぬものが吹き出て、背筋が震える。
クラピカの黒い瞳は、異形の者のごとく、冷たく暗く。
男はこの立場にのし上がるまで、それなりの修羅場をくぐった経験がある。暗殺者が至近距離に迫ったことさえある。しかし闇に生きる殺し屋ですら、こんな瞳は持っていなかった。
一糸纏わぬその姿は、天使のように神々しく、死神のように禍々しかった。

「わわ分かった、緋の眼は渡す、すぐに渡す……こ、この部屋の裏に、あ、暗証番号は、」
「相応に贖え」

クラピカの右手が、真っ直ぐに、男に向かって伸びた。









クラピカは聞き出した十桁の暗証番号を押し、部屋の裏扉を開いた。
その姿は未だ、一切の布地を纏わぬままだ。
服など、いつでも回収できる。
一刻も早く、仲間を。

大切な宝石を永く美しく保存するためだろう、その部屋は零度近くに冷やされていたが、クラピカは臆することなく、肌を晒したまま踏み込んだ。
部屋の中心の机上に置かれた透明なケースの中には、保存液に浮いた、一対の緋の眼。
やや小振りなその赤い宝玉は、幼子の眼であろう。

「遅くなってごめん。迎えに来たよ」

クルタの言語で、かつてのクラピカの言葉遣いで、囁かれた言葉。
白い息が、ケースの上面を少し曇らせた。
クラピカは素肌にケースを抱いて、そっと頬を押し付ける。
仲間を一人、取り戻せた。この結果を思えば、今日行われた陵辱など、クラピカにとって詮無きことだった。

先ほどまで獣のように喘いでいた姿を想像させない、慈愛に満ちた天使のような微笑は、冷たく静謐なその空間(へや)の時を止めるかのように清らだった。

Novel
'17.11.13